地域保健法全面施行と今後の地域歯科保健‐市町村の歯科保健を支える政策科学と地域のネットワーク

平成9年4月1日から地域保健法が全面施行された. また, これに伴う国の新たな地域歯科保健の指針として「都道府県及び市町村における歯科保健業務指針」が示された. 地方分権の推進を基本的理念とし, 市町村を中心に展開されつつある地域歯科保健の現状と課題について, 県型保健所に勤務する者の立場から現場活動の事例を通し, 歯科保健計画策定とヘルスプロモーションの視点を焦点に報告した. 市町村がみずからの考えで保健事業を進めていくうえで, 保健計画の策定は最も重要な業務の1つである. 老人保健福祉計画, 母子保健計画, 健全児童育成計画, 障害者計画などの計画が現在策定されており, 歯科保健はこの中で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 47; no. 5; p. 742
Main Author 田沢光正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.10.1997
Online AccessGet full text
ISSN0023-2831

Cover

More Information
Summary:平成9年4月1日から地域保健法が全面施行された. また, これに伴う国の新たな地域歯科保健の指針として「都道府県及び市町村における歯科保健業務指針」が示された. 地方分権の推進を基本的理念とし, 市町村を中心に展開されつつある地域歯科保健の現状と課題について, 県型保健所に勤務する者の立場から現場活動の事例を通し, 歯科保健計画策定とヘルスプロモーションの視点を焦点に報告した. 市町村がみずからの考えで保健事業を進めていくうえで, 保健計画の策定は最も重要な業務の1つである. 老人保健福祉計画, 母子保健計画, 健全児童育成計画, 障害者計画などの計画が現在策定されており, 歯科保健はこの中で計画されている(歯科保健単独の計画としては福島県相双地域歯科保健計画を紹介した). 歯科保健の専門家として, QOLや健康づくり全体に視点をおいた発言, 目標設定や評価に必要な指標や手段(事業)の選択と優先順位の決定に役立つ情報提供が求められている. 他の多くの分野の保健対策と同様, 歯科保健においても健康教育や健康診断などの個へのアプローチに加え, ヘルスプロモーションの視点からの地域のネットワークづくりが重要な手段になっている. 市町村や二次医療圏の保健, 医療, 福祉, 教育, 労働分野の連携の強化(盛岡地域歯科保健連絡協議会を紹介した), また, 食生活改善推進員などの住民組織, 食品業界などへのアプローチも必要であろう(南部せんべい&デンタルヘルス事業などを紹介した). 歯科保健はその特性から, 今後の地域保健全体のモデルになることが期待される.
ISSN:0023-2831