浅大腿動脈慢性完全閉塞病変に対する治療戦略

当院では浅大腿動脈を中心とする下肢慢性完全閉塞病変に対して両方向性アプローチを基本とし, 順行性に上腕動脈アプローチ, 逆行性には膝窩動脈アプローチで行っている. 両方向性アプローチにてもワイヤーを同一チャネル内へ進めることは困難なことが多く, 両方向から作ったそれぞれのsub-intimal spaceを交通させるため, Balloonを用いて間の隔壁を断裂させることでsub-intimal spaceの交通をつくる. そして膝窩動脈からのワイヤーを上腕から引き抜き, 手技は上腕から順行性に行う. また膝窩動脈にはシースは挿入せずワイヤーのみの挿入として病変末梢の血管への負担, 合併症を最小...

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Published in山口医学 Vol. 56; no. 6; p. 235
Main Authors 日野昭宏, 村重明宏, 赤川英三, 瑞慶覧貴子, 大塚敏之, 高芝潔, 尾崎正治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.12.2007
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ISSN0513-1731

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Summary:当院では浅大腿動脈を中心とする下肢慢性完全閉塞病変に対して両方向性アプローチを基本とし, 順行性に上腕動脈アプローチ, 逆行性には膝窩動脈アプローチで行っている. 両方向性アプローチにてもワイヤーを同一チャネル内へ進めることは困難なことが多く, 両方向から作ったそれぞれのsub-intimal spaceを交通させるため, Balloonを用いて間の隔壁を断裂させることでsub-intimal spaceの交通をつくる. そして膝窩動脈からのワイヤーを上腕から引き抜き, 手技は上腕から順行性に行う. また膝窩動脈にはシースは挿入せずワイヤーのみの挿入として病変末梢の血管への負担, 合併症を最小限にする. 【代表的症例】75歳男性, 間欠性跛行を認め, 下肢動脈造影にて右浅大腿動脈完全閉塞を認めた. 左上腕動脈より6Fのロングシースを右外腸骨動脈まで挿入し, ワイヤークロスを試みるが閉塞部をリエントリーできず, 腹臥位へ体位変換後, 膝窩動脈穿刺を行い, 逆行性にワイヤーを進めるがこちらも閉塞部をリエントリーできず. そこで, 順行性にバルーンを進め閉塞入口部で拡張することで, 両方向から作ったそれぞれのsub-intimal spaceの交通に成功. 膝窩動脈からのワイヤーを上腕から回収し, そのワイヤーを用いて上腕よりその後の手技を施行.閉塞部へステントを留置して手技を終了した. 膝窩動脈はワイヤーのみの挿入であり, 軽い圧迫にて止血可能であった.
ISSN:0513-1731