質量分析法で同定し, 多剤併用療法が奏効している肺Mycobacterium abscessus症の1例
「要旨」:症例は80歳女性. 胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった. CTでは気管支拡張, 多発結節影を認めた. 喀痰塗抹はガフキー2号で, 抗酸菌培養株検体のDNA-DNAハイブリダイゼーション法では菌種を同定できず, 質量分析法(MALDI-TOF MS)によりM. abscessusを2回同定した. ブロスミックRGM(R)による薬剤感受性試験でCAM耐性誘導のある亜種, M. abscessus subsp. abscessusと判定した. 入院してIPM/CS, AMK, STFX, LZD, CAMで治療を開始した. 副作用が出現しIPM/CSは中止した. 維持期はAMKを週2回...
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Published in | 結核 Vol. 99; no. 2; pp. 69 - 72 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.03.2024
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Summary: | 「要旨」:症例は80歳女性. 胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった. CTでは気管支拡張, 多発結節影を認めた. 喀痰塗抹はガフキー2号で, 抗酸菌培養株検体のDNA-DNAハイブリダイゼーション法では菌種を同定できず, 質量分析法(MALDI-TOF MS)によりM. abscessusを2回同定した. ブロスミックRGM(R)による薬剤感受性試験でCAM耐性誘導のある亜種, M. abscessus subsp. abscessusと判定した. 入院してIPM/CS, AMK, STFX, LZD, CAMで治療を開始した. 副作用が出現しIPM/CSは中止した. 維持期はAMKを週2回点滴に切り替えてその他薬剤を継続し, 画像所見の改善, 喀痰培養陰性化がみられた. マクロライド耐性のM. abscessus species症は薬剤の選択も含め治療が困難なことが多いが, 感受性検査も含めた的確な亜種同定と適切な強化・維持療法の実施が予後を改善する可能性がある. |
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ISSN: | 0022-9776 |