大量喀血をきたした強直性脊椎炎に伴う肺病変の1例

強直性脊椎炎に合併する肺病変は長期間経過後に出現し, 上肺野優位に肺の線維化をきたすが, 胸部X線上, 肺結核に似た所見を呈する. 症例は69歳, 男性. 主訴は喀血. 45歳のとき強直性脊椎炎, 67歳のとき気管支拡張症を指摘されている. 平成8年3月頃から右上葉の気管支拡張部の難治性感染のため入退院を繰り返した. 平成9年2月18日頃から, 血痰ないし少量の喀血を自覚したため平成9年2月21日, 緊急入院. 入院後, 断続的に150ml程度の喀血を認めたため右側臥位にして止血剤投与したが, 翌22日3時頃, 同相度の喀血あり, 7時の起床時に突然呼吸困難となった. 呼吸状態が悪化したため気...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 7; p. 575
Main Authors 小林賢悟, 吉井千春, 今永知俊, 井手宏, 川波潔, 永田忍彦, 城戸優光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1997
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Summary:強直性脊椎炎に合併する肺病変は長期間経過後に出現し, 上肺野優位に肺の線維化をきたすが, 胸部X線上, 肺結核に似た所見を呈する. 症例は69歳, 男性. 主訴は喀血. 45歳のとき強直性脊椎炎, 67歳のとき気管支拡張症を指摘されている. 平成8年3月頃から右上葉の気管支拡張部の難治性感染のため入退院を繰り返した. 平成9年2月18日頃から, 血痰ないし少量の喀血を自覚したため平成9年2月21日, 緊急入院. 入院後, 断続的に150ml程度の喀血を認めたため右側臥位にして止血剤投与したが, 翌22日3時頃, 同相度の喀血あり, 7時の起床時に突然呼吸困難となった. 呼吸状態が悪化したため気管内挿管後, 緊急気管支鏡施行. 多量の凝血塊を認め, 出血源は右上葉B^3 からと考えられ気管支動脈塞栓術を施行した. 本症例では気管支拡張症のため著明な血管増生があったために出血し, 肺の線維化で気管の偏位があったために十分な喀出ができず下気道の閉塞をきたしたと考えられた. 本症例のような報告は, 本邦では非常に稀であり, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137