遊離肋骨前鋸筋弁を用いた踵骨化膿性骨髄炎の治療経験

「はじめに」化膿性骨髄炎で, 広範な骨軟部組織欠損を伴う場合, 治療に難渋する事が多い. 今回我々は, 骨欠損を伴う踵骨化膿性骨髄炎に対し, free composite serratus anterior and rib flap(以下肋骨前鋸筋弁)を用いた治療を行ったので報告する. 症例 (症例)24歳男性(現病歴)平成9年3月13日高所より転落, 右大腿骨骨折, 右踵骨開放骨折の診断にて, 近医より搬送された. 足部内側に約6cmの開放創を認めたため, 同日洗浄デブリードマンを行った. 踵骨は内側面の骨欠損を伴っており, 距踵関節の破壊も高度であった(図1). 3月19日大腿骨は髄内釘に...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 2; pp. 453 - 455
Main Authors 土田徹, 林泰夫, 田中宏明, 福山紳, 絹原寛士, 田上学, 田中達朗, 木村康彦, 加藤悌二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1999
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」化膿性骨髄炎で, 広範な骨軟部組織欠損を伴う場合, 治療に難渋する事が多い. 今回我々は, 骨欠損を伴う踵骨化膿性骨髄炎に対し, free composite serratus anterior and rib flap(以下肋骨前鋸筋弁)を用いた治療を行ったので報告する. 症例 (症例)24歳男性(現病歴)平成9年3月13日高所より転落, 右大腿骨骨折, 右踵骨開放骨折の診断にて, 近医より搬送された. 足部内側に約6cmの開放創を認めたため, 同日洗浄デブリードマンを行った. 踵骨は内側面の骨欠損を伴っており, 距踵関節の破壊も高度であった(図1). 3月19日大腿骨は髄内釘にて, 踵骨はプレートにて骨接合術を行った. 踵骨には同時に腸骨より骨移植を行った. 距踵関節は再建不可能と考え, 一期的に関節固定を行った. 術後10日目より術創からの排膿が始まり, 創培養にてアシネトバクター, 緑膿菌が検出された. プレートを抜去し, しばらく開放療法を行ったが, 感染の鎮静化は得られず, 瘻孔を形成した.
ISSN:0037-1033