ブルーリ潰瘍(Buruli ulcer, Mycobacterium ulcerans disease)の切除皮膚における病理組織学的検討
ブルーリ潰瘍患者2症例(非潰瘍期, 潰瘍期)から外科的に摘出された皮膚病変の肉眼像および病理組織像を検討した. 病理組織学的には非潰瘍期では真皮の結節, 潰瘍期では皮膚の広汎な壊死, 線維芽細胞増生とともに, ラングハンス型巨細胞, 類上皮細胞, 血管炎が観察され, リンパ節にも肉芽腫が観察された. 原因菌のMycobacterium ulcerans(M.ulcerans)は抗酸菌染色(Fite染色), phenolic glycolipid-1(PGL1)免疫染色に陽性を示した. ブルーリ潰瘍皮膚の組織学的特徴を肉眼像とともに示し, 若干の考察を加え報告する. 「はじめに」ブルーリ潰瘍は結...
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Published in | 日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 80; no. 3; pp. 269 - 274 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハンセン病学会
01.09.2011
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ISSN | 1342-3681 |
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Summary: | ブルーリ潰瘍患者2症例(非潰瘍期, 潰瘍期)から外科的に摘出された皮膚病変の肉眼像および病理組織像を検討した. 病理組織学的には非潰瘍期では真皮の結節, 潰瘍期では皮膚の広汎な壊死, 線維芽細胞増生とともに, ラングハンス型巨細胞, 類上皮細胞, 血管炎が観察され, リンパ節にも肉芽腫が観察された. 原因菌のMycobacterium ulcerans(M.ulcerans)は抗酸菌染色(Fite染色), phenolic glycolipid-1(PGL1)免疫染色に陽性を示した. ブルーリ潰瘍皮膚の組織学的特徴を肉眼像とともに示し, 若干の考察を加え報告する. 「はじめに」ブルーリ潰瘍は結核症, ハンセン病に次ぐ第三の抗酸菌感染症といわれ, M.ulceransにより惹起される難治性潰瘍形成性皮膚疾患である. 感染経路は諸説あるが, 蚊を媒介としてヒトに伝播するという説や沼水に棲息する水生昆虫がその唾液腺にM.ulceransを宿し, ヒトを刺傷時に唾液を介して感染するという説が示されている. |
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ISSN: | 1342-3681 |