在宅片麻痺患者と転倒に関する調査
【目的】脳卒中後の慢性期における在宅片麻痺患者の種々の項目における転倒との関係を調べ, 今後の転倒予測および転倒対策とする. 【対象】当科にリハビリテーション通院中の在宅片麻痺患者のうち退院後1年以上の患者33名. 【方法】過去1年間の転倒既往の有無に分け, 種々の項目との関係を検討した. 【検討項目】年齢, 性別, 発症からの期間, 配偶者の有無, 片麻痺の左右, 片麻痺のステージ(上下肢), 立位・歩行状態, 装具使用の有無, 平衡機能(立位・座位開眼, 閉眼での軌道面積), 栄養状態, 貧血の有無, 睡眠・抗不安薬および循環器用薬剤服用の有無の21項目. 【結果】転倒は33例中11例(3...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; pp. 838 - 839 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1996
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】脳卒中後の慢性期における在宅片麻痺患者の種々の項目における転倒との関係を調べ, 今後の転倒予測および転倒対策とする. 【対象】当科にリハビリテーション通院中の在宅片麻痺患者のうち退院後1年以上の患者33名. 【方法】過去1年間の転倒既往の有無に分け, 種々の項目との関係を検討した. 【検討項目】年齢, 性別, 発症からの期間, 配偶者の有無, 片麻痺の左右, 片麻痺のステージ(上下肢), 立位・歩行状態, 装具使用の有無, 平衡機能(立位・座位開眼, 閉眼での軌道面積), 栄養状態, 貧血の有無, 睡眠・抗不安薬および循環器用薬剤服用の有無の21項目. 【結果】転倒は33例中11例(33%)にみられた. 転倒既往と検討項目に有意な関連は認められなかった. 転倒例が多い傾向を認めた項目は, 年齢が高いこと, また参考値ながら, 立位閉眼の軌道面積が小さいことのみであった. 転倒11例のうち, その主な原因は, 低い段差(20 cm)の存在や装具不使用, 不注意などで, 転倒回数は多くは1回で, なかには複数回の症例もあった. 【結論】脳卒中後の慢性期における在宅片麻痺患者は, 諸家の報告する同年代の在宅高齢者の転倒頻度に比べ若干高い傾向にあった. 在宅片麻痺患者にとっての転倒関連因子は, 諸家により老年者や入院患者と転倒予測因子の検討で得られてきた高齢, 薬剤, 左片麻痺などに有意な関連は認められず, 患者の不注意や環境因子といった要因があると思われた. |
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ISSN: | 0034-351X |