手術室の災害対策 震災時の手術室再開を考える―東日本大震災を経験して

[要旨] 東日本大震災後, 予定手術の開始時期の決定が難しい問題であった. 今回, 岩手県内16病院へのアンケートにより, 緊急手術可能日, 予定手術可能日, その理由, 被害状況, 手術材料などの不足の有無, 必要と考えられたことなどについて調査し, 大規模災害後の予定手術再開のための必要事項を検討した. 回答は11病院より得られた. 6病院では緊急手術は早期に可能であったが, 予定手術の開始時期は施設間の差が大きかった. ライフラインの復旧さえあれば, 緊急手術は早期に再開できる. 予定手術再開のためには, ライフラインの復旧, 流通の確保, 関係者の意識, 地域内での連携が重要であり,...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 33; no. 4; pp. 516 - 522
Main Authors 酒井彰, 鈴木健二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 13.07.2013
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Summary:[要旨] 東日本大震災後, 予定手術の開始時期の決定が難しい問題であった. 今回, 岩手県内16病院へのアンケートにより, 緊急手術可能日, 予定手術可能日, その理由, 被害状況, 手術材料などの不足の有無, 必要と考えられたことなどについて調査し, 大規模災害後の予定手術再開のための必要事項を検討した. 回答は11病院より得られた. 6病院では緊急手術は早期に可能であったが, 予定手術の開始時期は施設間の差が大きかった. ライフラインの復旧さえあれば, 緊急手術は早期に再開できる. 予定手術再開のためには, ライフラインの復旧, 流通の確保, 関係者の意識, 地域内での連携が重要であり, 個々の病院のみならず, 行政の対策も必要であると考えられた. 「はじめに」2011年3月11日に発生した東日本大震災において, 岩手, 宮城, 福島の沿岸では医療施設にも非常に大きな損害が出た. 岩手県では3つの県立病院(山田, 大槌, 高田の各病院)をはじめ, 多くの医院, 診療所が全壊となった.
ISSN:0285-4945