看護ケアによるN95微粒子マスクのフィットファクターの推移

• Published in: 結核 Vol. 95; no. 2; pp. 33 - 39
• Main Authors: 淺田道幸, 西村基記, 田野将尊, 竹内朋子
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.03.2020
• ISSN: 0022-9776

「要旨」 : 〔目的〕結核病棟で実施する看護ケアによって, N95微粒子マスクのフィットファクター (マスクと顔面の密着性の指標) はどのように推移するのか明らかにする. 〔方法〕看護師経験5年以上の女性22名を対象とし, N95微粒子マスクを装着して5分間坐位をとり, その後人体モデル人形に対して5つの看護ケアを実施してもらった. 実施前後にフィットテスト (マスクと顔面の密着性の確認) を行い, 1秒ごとにフィットファクターを計測した. 5分間坐位と各看護ケア実施前後のフィットファクターの差を, paired-t検定で比較し, さらに多重比較検定 (Bonferroni法) によって, フィットファクターの低下量を比較した (p<.05) . 本研究は, 研究者の所属する機関の研究倫理委員会の承認を得て実施した. 〔結果〕全ての看護ケアでフィットファクターは有意に低下した. また, 5分間坐位と比べ, 車椅子移乗はフィットファクターが有意に低下した (p=.022) . 〔考察〕結核病棟に勤務する看護師は, 看護ケアによって自己の感染リスクが上昇する可能性があることを認識し, 定期的なフィットテストを行い, N95微粒子マスクの確実な装着を確認する必要性が示唆された.