二次性腹部大動脈腸管瘻に対する解剖学的血行再建の手術成績

「要旨」:【目的】二次性腹部大動脈腸管瘻に対して, 解剖学的血行再建, 大網充填術を行い, 良好な長期成績を得ているので報告する. 【方法】当科で, 2009年から2012年に手術治療を行った連続する二次性腹部大動脈腸管瘻10症例に対し, 診断, 治療, 予後について検討した. 【結果】症状は, 10例中4例に消化管出血を認め, 出血性ショックが3例, その他, 発熱, 腰痛, 腹痛であった. 人工血管吻合部等に癒着した十二指腸または小腸に瘻孔があり, 手術は, 感染人工血管と腸管瘻孔を切除し, リファンピシン浸漬人工血管, または自家浅大腿静脈を用いて, 解剖学的に血行再建し, 腸管再建,...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 25; pp. 1 - 6
Main Authors 橋本宗敬, 後藤均, 赤松大二朗, 清水拓也, 土田憲, 河村圭一郎, 田島悠太, 梅津道久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本血管外科学会 01.12.2016
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ISSN0918-6778

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Summary:「要旨」:【目的】二次性腹部大動脈腸管瘻に対して, 解剖学的血行再建, 大網充填術を行い, 良好な長期成績を得ているので報告する. 【方法】当科で, 2009年から2012年に手術治療を行った連続する二次性腹部大動脈腸管瘻10症例に対し, 診断, 治療, 予後について検討した. 【結果】症状は, 10例中4例に消化管出血を認め, 出血性ショックが3例, その他, 発熱, 腰痛, 腹痛であった. 人工血管吻合部等に癒着した十二指腸または小腸に瘻孔があり, 手術は, 感染人工血管と腸管瘻孔を切除し, リファンピシン浸漬人工血管, または自家浅大腿静脈を用いて, 解剖学的に血行再建し, 腸管再建, 大網充填を行った. 術後早期に2例を失ったが, 8例は軽快退院し, 術後, 33.7~76.2カ月 (中央値51.9カ月) 感染の再燃なく生存している. 疾患関連5年生存率は80%であった. 【結論】二次性腹部大動脈腸管瘻に対する解剖学的血行再建による根治手術の長期成績は良好である.
ISSN:0918-6778