大量喀血をきたした気管支動脈蔓状血管腫の1例

症例は23歳, 女性. 平成4年8月および平成5年1月に50ml程度の喀血を認め, 気管支鏡検査を行ったが, 明らかな原因は特定できなかった. その後, 血痰, 喀血なく放置されていた. 平成9年5月17日, 再び血痰を生じた. 翌18日, 約200mlの大量喀血を生じ, 救急外来受診. 来院時, 胸部X線で右下肺に吸引した血液と思われるわずかな浸潤影を認めた. 同日の気管支鏡では右下葉支入口部に凝血塊が存在した. 翌日さらに約800mlの喀血があり, 止血および出血原因の検索のために気管支動脈造影を行った. 右B^10 の気管支動脈の拡張および蛇行を認め, 気管支動脈蔓状血管腫と診断, スポ...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 7; p. 575
Main Authors 玉川聡, 今永知俊, 吉井千春, 川波潔, 永田忍彦, 城戸優光, 中西良一, 安元公正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1997
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Summary:症例は23歳, 女性. 平成4年8月および平成5年1月に50ml程度の喀血を認め, 気管支鏡検査を行ったが, 明らかな原因は特定できなかった. その後, 血痰, 喀血なく放置されていた. 平成9年5月17日, 再び血痰を生じた. 翌18日, 約200mlの大量喀血を生じ, 救急外来受診. 来院時, 胸部X線で右下肺に吸引した血液と思われるわずかな浸潤影を認めた. 同日の気管支鏡では右下葉支入口部に凝血塊が存在した. 翌日さらに約800mlの喀血があり, 止血および出血原因の検索のために気管支動脈造影を行った. 右B^10 の気管支動脈の拡張および蛇行を認め, 気管支動脈蔓状血管腫と診断, スポンゼルを用いた緊急気管支動脈塞栓術を施行した. 再出血予防のため外科的に切除を行った. 本症は稀な疾患であり, 本邦報告例とともに文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137