帯状疱疹予防の重要性について考える
帯状疱疹は, 成人高齢者に多く認められる感染症で, ウイルス性の皮膚疾患である. 水痘の原因でもある水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) が, ウイルスの潜伏先である三叉神経節・脊髄後根神経節から再活性化することで発症し, 疼痛や潰瘍を伴う発疹が特徴である. 本講演では, 帯状疱疹の予防の重要性と, その予防策としての帯状疱疹ワクチンの役割について考察する. 帯状疱疹は, 水痘を引き起こすVZVが再活性化することで発症し, 痛みを伴う水疱性の発疹が特徴で, 帯状疱疹後神経痛 (Postherpetic neuralgia : PHN) などの長期的な合併症を引き起こすことがある. PHNは, 発疹...
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Published in | 総合健診 Vol. 52; no. 2; p. 396 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本総合健診医学会
10.03.2025
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Summary: | 帯状疱疹は, 成人高齢者に多く認められる感染症で, ウイルス性の皮膚疾患である. 水痘の原因でもある水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) が, ウイルスの潜伏先である三叉神経節・脊髄後根神経節から再活性化することで発症し, 疼痛や潰瘍を伴う発疹が特徴である. 本講演では, 帯状疱疹の予防の重要性と, その予防策としての帯状疱疹ワクチンの役割について考察する. 帯状疱疹は, 水痘を引き起こすVZVが再活性化することで発症し, 痛みを伴う水疱性の発疹が特徴で, 帯状疱疹後神経痛 (Postherpetic neuralgia : PHN) などの長期的な合併症を引き起こすことがある. PHNは, 発疹が治癒した後も痛みが続くことがあり, 生活の質に大きな影響を及ぼす. 現在2種類の帯状疱疹ワクチンが利用可能である. 一つは乾燥弱毒生ワクチンで, もう一つは不活化ワクチン (組換えサブユニットワクチン) である. いずれのワクチンも帯状疱疹の発症リスクを低下させる効果がある. 生ワクチンは, 感染予防効果は, 全体で51%であるが, 60歳代, 70歳代, 80歳代と加齢により約20%ずつ感染予防効果が減弱し, 予防効果の持続期間は約5年とされている. 不活化ワクチン (組換えサブユニットワクチン) は, 年代により感染予防効果は97%程度と変化なく, 現在まで接種後10年までの効果の持続が確認されている. 帯状疱疹は, 高齢者にとって深刻な疾患であることは言うまでもないが, 若年者でも移植患者, 悪性腫瘍患者, 膠原病患者, 糖尿病患者, 喘息患者等では, 発症リスクが高いことが判明しており, 予防策としての不活化ワクチン接種の重要性が叫ばれている. 白血病, 悪性腫瘍患者, 臓器移植患者, 副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬による治療中の者, HIV陽性者, AIDS患者, 放射線治療患者, 原発性免疫不全症の者, 妊婦等を診察する50歳以上の医療関係者及び18歳以上の細胞性免疫が低下する基礎疾患を有する医療関係者においては, 帯状疱疹ワクチン接種を受けることが, 日本環境感染学会が発表している医療関係者のためのワクチンガイドラインの中で示されている. Vaccine Preventable Diseases (VPD) はワクチンで予防するといった考え方をしっかりと臨床現場に浸透させることが重要である. 著者のCOI (conflict of interest) 開示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし |
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ISSN: | 1347-0086 |