福岡県における血液使用状況調査

輸血療法適正化ガイドラインが告示されて10年が経過したところで血液製剤の使用にどのような問題があるのかを把握するために県下の主要な医療機関にアンケートを行ったのでその結果を報告する. 【対象と方法】 福岡県赤十字血液センターおよび北九州赤十字血液センター双方に平成6年献血供給量を各成分別に報告を求めた. また両センターから献血血液請求の多い順に, それぞれ50および32医療機関に対して血液使用量についてアンケートを行った. アンケートは各血液成分別の使用量, 患者数, 性別, 年齢など15項目であった. とくに赤血球についてはMAP使用期限短縮の影響を知るために1~3月, 4~12月の前後期に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 236
Main Authors 稲葉頌一, 佐川公矯, 坂本久浩, 丹生恵子, 鷹野壽代, 立石春雄, 轟木元友, 江上康一郎, 前田義章, 藤原弘一, 成國勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:輸血療法適正化ガイドラインが告示されて10年が経過したところで血液製剤の使用にどのような問題があるのかを把握するために県下の主要な医療機関にアンケートを行ったのでその結果を報告する. 【対象と方法】 福岡県赤十字血液センターおよび北九州赤十字血液センター双方に平成6年献血供給量を各成分別に報告を求めた. また両センターから献血血液請求の多い順に, それぞれ50および32医療機関に対して血液使用量についてアンケートを行った. アンケートは各血液成分別の使用量, 患者数, 性別, 年齢など15項目であった. とくに赤血球についてはMAP使用期限短縮の影響を知るために1~3月, 4~12月の前後期に分け使用量をABO血液型別に調査した. また, アルブミン使用量についても問い合わせた. アルブミンについては福岡県で供給実績を持つ3社に対して販売量の報告を求めた. 【結果】 各成分別の使用量は全血2090単位, 赤血球濃厚液254682単位, 新鮮凍結血漿237237単位, 濃厚血小板血漿325222単位であった. ほぼ70%が調査対象医療機関で使用されていた. これらの医療機関の総病床数は23662床であった. 赤血球濃厚液の廃棄は後期で3%程度増加していたが, 頻度の低いB型, AB型でそれぞれ13%→17%, 12%→19%と廃棄率が増えていた. アルブミンの使用量を原料血漿に換算して(アルブミン1kgを原料血漿40リットル)血漿使用総量を求め赤血球と比較すると2.9倍となっていた. また4大学病院の血小板, 凍結血漿, アルブミン使用量が全体の約40%であった. 【考察】 血液の使用は大学病院を中心とする300床以上の大病院に集中していた. 本県では全血および200m曲来赤血球の使用はそれぞれ献血者の1.1%, 3.4%と非常に低い割合となっていた. アルブミンを原料血漿換算し, 凍結血漿との和を赤血球と比較すると約3倍が液用されていることが明らかになった. したがって, 血漿の適正使用を考えるときアルブミンを含めた検討が必要であった. MAP使用期限短縮によって低頻度のB型・AB型に廃棄が増えていたが予想されたよりも影響は軽度であった.
ISSN:0546-1448