多彩な中枢神経結核の病態を呈した粟粒結核の1例

「要旨」: 59歳女性. 発熱, 頭痛をきたして受診した. 来院時の胸部CTからは多発転移性肺腫瘍, 粟粒結核が疑われた. 喀痰検査で抗酸菌塗抹陽性, 結核菌PCRが陽性であり肺結核の診断となった. 入院時より見当識障害がみられて結核性髄膜炎が疑われたため, 抗結核薬に加えてステロイドの併用を行った. その後の検査で結核性髄膜炎だけでなく, 脳結核腫, 脊髄結核腫の合併も認めた. 肺結核・粟粒結核の経過は良好であったが, 治療途中で脊髄くも膜癒着による両下肢の筋力低下としびれによる歩行困難を認めた. 本症例は, 初診時より多数の中枢結核病変を認めており, 経過中に神経症状の悪化を認めたが, 抗...

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Published in結核 Vol. 99; no. 5; pp. 133 - 137
Main Authors 村瀬享子, 花田豪郎, 森口修平, 中濱洋, 宮本篤, 高谷久史, 玉岡明洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.07.2024
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 59歳女性. 発熱, 頭痛をきたして受診した. 来院時の胸部CTからは多発転移性肺腫瘍, 粟粒結核が疑われた. 喀痰検査で抗酸菌塗抹陽性, 結核菌PCRが陽性であり肺結核の診断となった. 入院時より見当識障害がみられて結核性髄膜炎が疑われたため, 抗結核薬に加えてステロイドの併用を行った. その後の検査で結核性髄膜炎だけでなく, 脳結核腫, 脊髄結核腫の合併も認めた. 肺結核・粟粒結核の経過は良好であったが, 治療途中で脊髄くも膜癒着による両下肢の筋力低下としびれによる歩行困難を認めた. 本症例は, 初診時より多数の中枢結核病変を認めており, 経過中に神経症状の悪化を認めたが, 抗結核薬とステロイドが奏効して後遺症なく回復した.
ISSN:0022-9776