スギ花粉症に対する初期療法

「はじめに」スギ花粉症はスギ花粉を抗原として発症するアレルギー性鼻炎であり, 日本では約3,000万人がスギ花粉症に罹患していると推定されており, 国民病と呼ばれている. スギ花粉症の治療として, 2月ごろにスギ花粉が飛散を開始し花粉症が発症してから, 治療薬を投薬する導入療法が広く行われている. これに対して, スギ花粉の飛散開始前からあらかじめ治療薬を投薬する初期療法を行うと, スギ花粉の飛散期に導入療法と比較して, 花粉症の重症化が抑制される. そのため, スギ花粉症に対する初期療法は鼻アレルギー診療ガイドラインで推奨される標準的治療になっている. 初期療法は鼻過敏性の亢進を抑制する効果...

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Published in耳鼻咽喉科免疫アレルギー Vol. 37; no. 4; pp. 241 - 244
Main Authors 北村嘉章, 水口博之, 福井裕行, 武田憲昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 27.12.2019
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ISSN0913-0691

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Summary:「はじめに」スギ花粉症はスギ花粉を抗原として発症するアレルギー性鼻炎であり, 日本では約3,000万人がスギ花粉症に罹患していると推定されており, 国民病と呼ばれている. スギ花粉症の治療として, 2月ごろにスギ花粉が飛散を開始し花粉症が発症してから, 治療薬を投薬する導入療法が広く行われている. これに対して, スギ花粉の飛散開始前からあらかじめ治療薬を投薬する初期療法を行うと, スギ花粉の飛散期に導入療法と比較して, 花粉症の重症化が抑制される. そのため, スギ花粉症に対する初期療法は鼻アレルギー診療ガイドラインで推奨される標準的治療になっている. 初期療法は鼻過敏性の亢進を抑制する効果があるとされているが, その作用機序には未だ不明な点が残されている. 本稿では, 我々の研究結果を中心にスギ花粉症に対する初期療法が鼻粘膜のヒスタミンH1受容体 (H1受容体) の遺伝子発現を抑制することにより, 導入療法よりも高い効果を示すメカニズムについて解説する.
ISSN:0913-0691