徐脈性不整脈に対する遺伝子・細胞治療の現在

徐脈性不整脈の治療は人工ペースメーカ植込みがゴールドスタンダードであるが, 感染症や非生理的ペーシングによる心不全増悪などの合併症を引き起こすことがあるため, 新規治療法開発が期待されている. 徐脈性不整脈に対する遺伝子治療や細胞治療の研究は現在も進められており, イオンチャネルを制御することで作業心筋の自動能を上昇させ, ペースメーカ機能をもつ細胞へと変化させる方法や, 幹細胞由来拍動細胞を左心室に移植することで接合部調律と同程度の異所性興奮を生じさせる方法が報告されている. このように, バイオペースメーカ開発が進む一方で, 房室ブロックで生じた房室伝導障害の修復に関してはいまだ報告が少な...

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Published in心電図 Vol. 43; no. 1; pp. 19 - 25
Main Authors 吉田聡, 李鍾國
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不整脈心電学会 04.04.2023
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Summary:徐脈性不整脈の治療は人工ペースメーカ植込みがゴールドスタンダードであるが, 感染症や非生理的ペーシングによる心不全増悪などの合併症を引き起こすことがあるため, 新規治療法開発が期待されている. 徐脈性不整脈に対する遺伝子治療や細胞治療の研究は現在も進められており, イオンチャネルを制御することで作業心筋の自動能を上昇させ, ペースメーカ機能をもつ細胞へと変化させる方法や, 幹細胞由来拍動細胞を左心室に移植することで接合部調律と同程度の異所性興奮を生じさせる方法が報告されている. このように, バイオペースメーカ開発が進む一方で, 房室ブロックで生じた房室伝導障害の修復に関してはいまだ報告が少なく, その電気生理特性解析に関しても確立したものがない. そこでわれわれは, 生体由来心筋細胞と同じ動物種由来の, iPS細胞由来心筋細胞によるin vitro細胞移植評価プラットフォームを構築し, 心臓伝導障害に対する再生治療法の可能性を探求した. これまでに報告された徐脈性不整脈に対する遺伝子治療・細胞治療法と併せて報告する.
ISSN:0285-1660