縦隔リンパ節結核を伴った気管結核の1例

症例は44歳, 男性. 平成6年6月頃より咳嗽あり, その後咳嗽著明となり同年9月当院受診した. 気管支鏡検査にて気管中部の右側壁からの扁平化と気管中部右側壁に2つのポリープ様病変を認め, 周囲粘膜は発赤し, 粘膜下より膨隆していた. 2つのポリープ様病変はつながり, 一部粘膜は欠損し, 黄白色の陥凹を示していた. 生検にて乾酪壊死及びラングハンス巨細胞を伴う類上皮肉芽腫の病理所見を認め, 気管結核と診断した. 細菌学的には遺伝子診断含め全て陰性であった. 胸部CT検査で病変部に接する気管傍リンパ節は腫大し, 気管粘膜の発赤に一致して気管前リンパ節まで縦隔リンパ節の腫大を認めたことより, 縦隔...

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Published in気管支学 Vol. 18; no. 2; p. 203
Main Authors 河野嘉彦, 多代友紀, 野村竜司, 伊藤雅文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.03.1996
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Summary:症例は44歳, 男性. 平成6年6月頃より咳嗽あり, その後咳嗽著明となり同年9月当院受診した. 気管支鏡検査にて気管中部の右側壁からの扁平化と気管中部右側壁に2つのポリープ様病変を認め, 周囲粘膜は発赤し, 粘膜下より膨隆していた. 2つのポリープ様病変はつながり, 一部粘膜は欠損し, 黄白色の陥凹を示していた. 生検にて乾酪壊死及びラングハンス巨細胞を伴う類上皮肉芽腫の病理所見を認め, 気管結核と診断した. 細菌学的には遺伝子診断含め全て陰性であった. 胸部CT検査で病変部に接する気管傍リンパ節は腫大し, 気管粘膜の発赤に一致して気管前リンパ節まで縦隔リンパ節の腫大を認めたことより, 縦隔リンパ節結核から発生したリンパ節性気管結核と考えた. 化学療法施行後, 気管内病変及び縦隔リンパ節腫大の消失を認めた. リンパ節性気管, 気管支結核の成立機序を考える上で示唆ある症例であった.
ISSN:0287-2137