冠動脈ステント留置後のチクロピジンが原因と思われた血栓性血小板減少性紫斑病・vWF特異的切断酵素活性を経時的に測定し得た1例
患者は66歳の女性で主訴は出血斑. 狭心症で2002年11月14日当院へ入院し, 同日よりチクロピジン200mg/日の投与を開始した. 11月15日左冠動脈前下行枝(#7)の99%狭窄に対して冠動脈ステント(BX Velocityステント3.0×23mm)を留置した. 12月7日より点状出血が出現するようになり血小板減少(7000/mm3)を指摘され, 紹介入院となった. 入院時身体所見では体温38.3℃と上昇し, 意識レベルは混濁し, 体幹に点状出血を多数認めた. 1)血小板減少症, 2)破砕赤血球を伴う溶血性貧血, 3)発熱, 4)中枢神経症状の存在より, 血栓性血小板減少性紫斑病を疑った...
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Published in | 心臓 Vol. 36; no. 2; pp. 103 - 106 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
丸善
15.02.2004
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 患者は66歳の女性で主訴は出血斑. 狭心症で2002年11月14日当院へ入院し, 同日よりチクロピジン200mg/日の投与を開始した. 11月15日左冠動脈前下行枝(#7)の99%狭窄に対して冠動脈ステント(BX Velocityステント3.0×23mm)を留置した. 12月7日より点状出血が出現するようになり血小板減少(7000/mm3)を指摘され, 紹介入院となった. 入院時身体所見では体温38.3℃と上昇し, 意識レベルは混濁し, 体幹に点状出血を多数認めた. 1)血小板減少症, 2)破砕赤血球を伴う溶血性貧血, 3)発熱, 4)中枢神経症状の存在より, 血栓性血小板減少性紫斑病を疑った. チクロピジンを中止し, 4日間血漿交換療法を施行したところ, 意識レベルの改善と血小板数の増加を認めた. 近年, TTPの病因としてvWF特異的切断酵素(vWF-cleaving protease:vWF-CP)活性の低下とvWF-CPに対する抗体の出現が報告されているが, 本症例でも血漿交換前のvWF-CP活性は3%未満と著減しており抗vWF-CP抗体が陽性だった. 血漿交換によってvWF-CP活性は増加し, 抗vWF-CP抗体の出現が本症例のTTPの病因であることが示唆された. |
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ISSN: | 0586-4488 |