人工肺への気泡引き込みの実験的検討

「要旨」 遠心ポンプと陰圧吸引補助脱血(vacuum assisted venous drainage : VAVD)との組み合わせによる体外循環システムでは人工肺に陰圧が生じてしまう危険性がある. 遠心ポンプ停止状態にて5社の人工肺にシリンジあるいは陰圧吸引補助脱血用陰圧調整器にて陰圧をかけ, 人工肺のパージライン開閉時における気泡センサーの作動の有無, 目視での気泡混入確認を行った. 人工肺パージラインを閉じた状態では, すべての人工肺で気泡センサーの作動はなかったが, 気泡の混入は確認された. 人工肺パージラインを開けた状態では, 一部の人工肺で気泡センサーの作動が見られ, すべての人工...

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Published in体外循環技術 Vol. 46; no. 1; pp. 12 - 18
Main Authors 大島弘之, 東條圭一, 古平聡, 武田章数, 有馬司, 海老根智代, 桑原紗衣, 宮地鑑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2019
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」 遠心ポンプと陰圧吸引補助脱血(vacuum assisted venous drainage : VAVD)との組み合わせによる体外循環システムでは人工肺に陰圧が生じてしまう危険性がある. 遠心ポンプ停止状態にて5社の人工肺にシリンジあるいは陰圧吸引補助脱血用陰圧調整器にて陰圧をかけ, 人工肺のパージライン開閉時における気泡センサーの作動の有無, 目視での気泡混入確認を行った. 人工肺パージラインを閉じた状態では, すべての人工肺で気泡センサーの作動はなかったが, 気泡の混入は確認された. 人工肺パージラインを開けた状態では, 一部の人工肺で気泡センサーの作動が見られ, すべての人工肺で気泡の混入も確認された. 以上より, 人工肺に気泡を引き込んでも, 気泡センサーが作動しない場合が十分考えられ, 気泡を誤送してしまう危険性やGMEの可能性など考慮し, 遠心ポンプとVAVDの併用時の, 特に体外循環開始時の手順を各施設で明確にするとともに, 人工肺の前後圧をモニタするなど安全対策を確実に実施することも重要と思われた. また各人工肺のパージラインを開閉時の気泡混入時の挙動も理解しておくことが必要と思われた.
ISSN:0912-2664