咽喉頭異常感症の扱い方

「1. 異常感をどう考えるか」日常経験することであるが, ゆっくりと大きくなった口腔や咽頭の良性腫瘍例で, 嚥下障害はもとより, のどの異常感も全く訴えない症例に遭遇して驚かされることがある. それ故異常感を訴える人の口腔, 咽喉頭を見てなんらかの異常を発見したからと言って, それが異常感の原因であるかどうかを決めることは容易ではない. 感冒のあと異常感がおこったという訴えは多い. 感冒は数日中に改善されるにもかかわらず異常感だけはいつまでも残っている. そして局所にはすでに認むべき変化はなくなっている. すなわち, 異常感を発来させる原因 (原因的要因) と異常感がなかなか消失しない要因 (...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 90; no. 8; pp. 1300 - 1303
Main Author 太田文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.08.1987
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ISSN0030-6622

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Summary:「1. 異常感をどう考えるか」日常経験することであるが, ゆっくりと大きくなった口腔や咽頭の良性腫瘍例で, 嚥下障害はもとより, のどの異常感も全く訴えない症例に遭遇して驚かされることがある. それ故異常感を訴える人の口腔, 咽喉頭を見てなんらかの異常を発見したからと言って, それが異常感の原因であるかどうかを決めることは容易ではない. 感冒のあと異常感がおこったという訴えは多い. 感冒は数日中に改善されるにもかかわらず異常感だけはいつまでも残っている. そして局所にはすでに認むべき変化はなくなっている. すなわち, 異常感を発来させる原因 (原因的要因) と異常感がなかなか消失しない要因 (遷延性要因) とを分けて考えてみてはどうだろうか. 表1のように前者は器質的変化, それも局所の比較的急性の変化が主であろう. そして後者には心理的要因が主役を演じ, また局所的および全身的要因がそれを助けているのではなかろうか.
ISSN:0030-6622