(I-P1-15)重度嚥下障害例における長期アプローチの改善経過
【序】全身状態不良で訓練開始が遅れた症例に対し長期的にかかわり嚥下機能に改善がみられたので報告する. 【症例】70歳代男性. H17.4月脳梗塞発症, 6月再発. ADL全介助. 再発後42病日より37度台熱発続き, 自己喀痰困難. 嗄声. MWST2点, 咽頭・咳反射低下. VEにて右声帯麻痺, 唾液貯留みられ, VFでは喉頭挙上不良, 咽頭残留, 不顕性誤嚥が認められた. 【経過】70病日より一般的嚥下訓練開始. 咽頭反射誘発時間2~3秒, 呼気持続1秒未満, 水ゼリー少量嚥下では約1分後弱い咳あり. 90病日感染症となり全身状態悪化. 血清Alb値2.7. 体力・精神力低下し訓練停滞....
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 347 - 348 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
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Summary: | 【序】全身状態不良で訓練開始が遅れた症例に対し長期的にかかわり嚥下機能に改善がみられたので報告する. 【症例】70歳代男性. H17.4月脳梗塞発症, 6月再発. ADL全介助. 再発後42病日より37度台熱発続き, 自己喀痰困難. 嗄声. MWST2点, 咽頭・咳反射低下. VEにて右声帯麻痺, 唾液貯留みられ, VFでは喉頭挙上不良, 咽頭残留, 不顕性誤嚥が認められた. 【経過】70病日より一般的嚥下訓練開始. 咽頭反射誘発時間2~3秒, 呼気持続1秒未満, 水ゼリー少量嚥下では約1分後弱い咳あり. 90病日感染症となり全身状態悪化. 血清Alb値2.7. 体力・精神力低下し訓練停滞. 128病日状態安定し経管栄養開始. 血清Alb値3.4. グループ活動参加促進. 離床20分可能. 196病日有声音きかれ, 咽頭反射誘発時間1秒, 呼気持続約3秒. 水ゼリー嚥下では直後咳嗽し空嚥下あり. MWST3点. 血清Alb値3.9. 離床1時間可能. 225病日VE・VFにて声帯麻痺改善, 咽頭反射改善, 誤嚥なし. 昼ゼリー食開始し15分で1個摂取. 随意咳にて喉頭侵入物喀出可. 段階的に粥食, ペースト食へアップ. 283病日ペースト食全量摂取. MWST5点. 藤島のGr.2から5まで改善. 【考察】一側声帯麻痺の本症例は長期発声訓練実施により声帯の運動性向上し嗄声改善に至った. またブローイング, 咳嗽訓練の長期継続が呼吸機能, 腹筋群, 声門閉鎖強化に働き, 嚥下時の気道防御・随意的咳嗽力向上となり誤嚥予防に繋がったと考える. 全身状態低下を基底とした本症例は, 低栄養状態下では十分な訓練効果を得られなかったが, 経管栄養開始後では栄養値改善, 離床時間向上につれ相乗的に嚥下機能改善が得られた. 十分に栄養管理を確保し全身状態安定・活動性向上を図ることが訓練効果に好影響であり, 良好な栄養状態維持による免疫力向上・体力改善が肺炎予防に繋がったと推察される. 長期にかけた訓練継続には, 嚥下機能のみではなく複合的な側面からのアプローチが有用であると考える. |
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ISSN: | 1343-8441 |