気管支内腔病変が顕著で, 治療中サイトメガロウイルスによる感染症を合併したウエゲナー肉芽腫症の1例

症例は63歳の男性. 平成9年2月頃から鼻閉感, 膿血性鼻漏が出現し, 当院耳鼻科紹介受診. 抗生物質内服治療も軽快せず, 湿性咳嗽, 微熱, 両側耳痛, 難聴などが出現. 症状は進行性に増悪したために4月入院となった. 汎副鼻腔充満像, 気管支潰瘍, 尿潜血反応強陽性が認められ, 鼻粘膜生検, C-ANCA値高値より全身型ウエゲナー肉芽腫症と診断した. プレドニゾロンとサイクロフォスファマイド標準治療により鼻腔内粘膜所見, C-ANCA値は速やかに反応し軽快したが, 顕微鏡学的血尿及び気道内病変は遷延し, そのためメチルプレドニゾロンのパルス療法を施行した. 鼻粘膜所見, C-ANCA値は確...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 7; p. 585
Main Authors 仲谷善彰, 塩田智美, 坂本匡一, 岩瀬彰彦, 青木茂行, 松岡緑郎, 石塚鉄男, 下田雄丈, 高井禎成, 加藤哲夫, 清水誠一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1997
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は63歳の男性. 平成9年2月頃から鼻閉感, 膿血性鼻漏が出現し, 当院耳鼻科紹介受診. 抗生物質内服治療も軽快せず, 湿性咳嗽, 微熱, 両側耳痛, 難聴などが出現. 症状は進行性に増悪したために4月入院となった. 汎副鼻腔充満像, 気管支潰瘍, 尿潜血反応強陽性が認められ, 鼻粘膜生検, C-ANCA値高値より全身型ウエゲナー肉芽腫症と診断した. プレドニゾロンとサイクロフォスファマイド標準治療により鼻腔内粘膜所見, C-ANCA値は速やかに反応し軽快したが, 顕微鏡学的血尿及び気道内病変は遷延し, そのためメチルプレドニゾロンのパルス療法を施行した. 鼻粘膜所見, C-ANCA値は確定診断には特に重要であったが, 治療効果の指標とは成りえなかった. 一方, 気管支鏡検査は活動性の把握, 治療効果の判定に極めて有用な検査であった.
ISSN:0287-2137