メタボリックシンドロームの病態と診断
メタボリックシンドロームの病態 メタボリックシンドロームの基盤病態は, エネルギー過剰状態とそれに伴うインスリン抵抗性状態である. 近年, 食生活の変化(高脂肪食化)や車の普及, 交通手段の発達に伴い運動不足の生活となり, エネルギー過剰状態・肥満をきたしインスリン抵抗性を有する者の数が急増している. 若年から肥満やインスリン抵抗性をきたし, その結果, 糖尿病, 高脂血症, 高血圧などの動脈硬化症の危険因子を複数有する者が増加している. そして, 虚血性心疾患・脳血管障害・閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患の発症の結果, 「生活の質の低下」により健康寿命が短命化している(図1). エネルギ...
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Published in | 心臓 Vol. 40; no. 6; pp. 496 - 502 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団
15.06.2008
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Summary: | メタボリックシンドロームの病態 メタボリックシンドロームの基盤病態は, エネルギー過剰状態とそれに伴うインスリン抵抗性状態である. 近年, 食生活の変化(高脂肪食化)や車の普及, 交通手段の発達に伴い運動不足の生活となり, エネルギー過剰状態・肥満をきたしインスリン抵抗性を有する者の数が急増している. 若年から肥満やインスリン抵抗性をきたし, その結果, 糖尿病, 高脂血症, 高血圧などの動脈硬化症の危険因子を複数有する者が増加している. そして, 虚血性心疾患・脳血管障害・閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患の発症の結果, 「生活の質の低下」により健康寿命が短命化している(図1). エネルギー過剰蓄積によるインスリン抵抗性(図2) インスリンの標的臓器は肝臓, 骨格筋および脂肪細胞である. そのうち特に, エネルギー過剰の肥満状態や糖尿病者で糖の取り込みが低下している臓器は, 原因は明らかではないが骨格筋であると報告されてきている1). |
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ISSN: | 0586-4488 |