S状結腸癌骨盤内再発の1例を契機に診断したHNPCCの1家系
症例:36歳, 男性 家族歴:母方祖父:大腸癌で死亡(44歳). 母:大腸癌にて36歳より3回腸切除, 65歳, 健在. 母の妹:大腸癌, 63歳, 健在. 母の弟:大腸癌で死亡(27歳) . 既往歴:特記なし. 主訴:下腹部不快. 現病歴:1999年5月8日海外出張中S状結腸癌の診断にて米国にてS状結腸切除術を施行. 根治的に切除したが, リンパ節転移は極めて高度(17/23)であった. 術後補助化学療法(5Fu/LV)施行. 2000年5月に骨盤内再発を認め, 腫瘍増大したため, 切除を希望して当院を受診した. 2000年8月23日骨盤内臓全摘術施行. 10月に右副腎, 右腋窩リンパ節転移...
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Published in | 家族性腫瘍 Vol. 1; no. 2; p. 39 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
家族性腫瘍研究会
15.05.2001
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-1052 |
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Summary: | 症例:36歳, 男性 家族歴:母方祖父:大腸癌で死亡(44歳). 母:大腸癌にて36歳より3回腸切除, 65歳, 健在. 母の妹:大腸癌, 63歳, 健在. 母の弟:大腸癌で死亡(27歳) . 既往歴:特記なし. 主訴:下腹部不快. 現病歴:1999年5月8日海外出張中S状結腸癌の診断にて米国にてS状結腸切除術を施行. 根治的に切除したが, リンパ節転移は極めて高度(17/23)であった. 術後補助化学療法(5Fu/LV)施行. 2000年5月に骨盤内再発を認め, 腫瘍増大したため, 切除を希望して当院を受診した. 2000年8月23日骨盤内臓全摘術施行. 10月に右副腎, 右腋窩リンパ節転移出現したため, 化学療法(CPT11)を施行するも, 効果を認めず. 放射線治療にて腋窩腫瘍の縮小を認めたが, 骨盤内局所にも再再発し, 水腎症となり入院中である. 母親の遺伝子検査にて, hMLH1のcodon75に1塩基欠損を認めた. 現在, 御家族に対し, カウンセリング中である. 本症例については, 母親の治療時点で, 御家族に対する発症前カウンセリングが施行されていれば, 早期発見が可能であったと考えられ, HNPCCの認知度を高める必要性を痛感した. また, HNPCCに対する化学療法の薬剤選択にも苦慮した. |
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ISSN: | 1346-1052 |