開心術・大血管手術症例における輸血後肝炎発生抑制因子としてのGPT値の臨床的意義
目的:われわれは開心術症例に対し成分輸血存使用し, 成分血液1単位毎に免疫グロブリン250mgを添加することにより肝炎発生抑制の効果を得ているが, 今回は輸血に用いられたPilotのGPTを調査しGPT値20単位以下の輸血が肝炎発生抑制に関与するか否かの検討を行なったので報告する. 対象と方法:昭和58年1月から昭和62年12月までの5年間に1年間以上追跡しえた開心術と大血管症例129例の輸血PilotのGPT値を成分血別に肝炎発生との関連性について検討し, GPT20単位以下の成分血を輸血された症例と21単位以上の成分血を輸血された症例について肝炎発生との関連性を肝炎例と非肝炎例, 年度別,...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 2; p. 288 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.1989
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 目的:われわれは開心術症例に対し成分輸血存使用し, 成分血液1単位毎に免疫グロブリン250mgを添加することにより肝炎発生抑制の効果を得ているが, 今回は輸血に用いられたPilotのGPTを調査しGPT値20単位以下の輸血が肝炎発生抑制に関与するか否かの検討を行なったので報告する. 対象と方法:昭和58年1月から昭和62年12月までの5年間に1年間以上追跡しえた開心術と大血管症例129例の輸血PilotのGPT値を成分血別に肝炎発生との関連性について検討し, GPT20単位以下の成分血を輸血された症例と21単位以上の成分血を輸血された症例について肝炎発生との関連性を肝炎例と非肝炎例, 年度別, 輸血単位数で検討した. 尚, 肝炎の判定は吉利班の診断基準に従った. 結果:肝炎の発生は58年31例中1例(3.2%), 59年29例中1例(3.4%), 60年19例中1例(5.3%), 61年21例中2例(9.5%), 62年29例中5例(17.2%), 全体として129例中10例(7.8%)であった. 成分血の使用状況は濃厚赤血球(CRC)1458U(78%), 新鮮凍結血漿(FFP)328U(17%), 濃縮血小板血漿(PCP)他41U(5%)であった. FFPが62年に165Uと5年間使用量の大半が用いられ, 肝炎発生との関連について検討したが, 年度別でのGPT21以上のFFP使用数の比率と肝炎発生率とに関連がみられなかった. GPTが20以下の成分血だけ輸血された51症例では肝炎例は1例(2%)にすぎないがGPT21以上の成分血を1単位以上輸血された78例では9例(12%)と有意差を認めた, また, GPT21以上の成分血1単位で38例中2例(5%)の肝炎発生だが, GPT21以上の成分血2単位以上輸血された31例では7例(23%)に肝炎が発生した. 結論:GPT21以上の成分血を輸血された症例に肝炎の発生が高く, 2単位以上輸血されるとその傾向が強くなることが示唆された. |
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ISSN: | 0546-1448 |