Cabrol手術後の冠状動脈口吻合部仮性動脈瘤に対する再手術と弓部大動脈全置換術-右鎖骨下動脈起始異常を伴ったMarfan症候群の1例
症例は, Marfan症候群を合併した49歳の男性であった. 5年前に, annulo-aortic ectasiaに合併したDeBakey I型急性大動脈解離に対して, 当院でCabrol手術を施行した. 今回胸痛を主訴に入院した. CTで上行大動脈に径85mmの仮性動脈瘤と弓部大動脈以下に遺残解離腔を認め, 弓部大動脈径は55mmであった. 更に, 本例は右鎖骨下動脈起始異常を伴っていた. 血管造影検査で左右冠状動脈口吻合部の離開を認め, 仮性動脈瘤は縫合不全に起因するものであった. この症例に対して冠状動脈口の吻合部離開を修復するとともに, 弓部4分枝再建を伴う弓部大動脈全置換術を施行し...
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Published in | The Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 10; pp. 1041 - 1046 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胸部外科学会
10.10.1998
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ISSN | 1344-4964 |
Cover
Summary: | 症例は, Marfan症候群を合併した49歳の男性であった. 5年前に, annulo-aortic ectasiaに合併したDeBakey I型急性大動脈解離に対して, 当院でCabrol手術を施行した. 今回胸痛を主訴に入院した. CTで上行大動脈に径85mmの仮性動脈瘤と弓部大動脈以下に遺残解離腔を認め, 弓部大動脈径は55mmであった. 更に, 本例は右鎖骨下動脈起始異常を伴っていた. 血管造影検査で左右冠状動脈口吻合部の離開を認め, 仮性動脈瘤は縫合不全に起因するものであった. この症例に対して冠状動脈口の吻合部離開を修復するとともに, 弓部4分枝再建を伴う弓部大動脈全置換術を施行し, 術後経過は良好である. 右鎖骨下動脈起始異常合併例に対する弓部置換術の報告はまれであるので, 文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1344-4964 |