若年者のO脚・X脚に対する膝周囲骨切り術の38年に至る超長期追跡成績と膝関節症の発生
「はじめに」日本は幼児期からのO脚が多い国として有名である. 10年前, 日本整形外科学会の総会開会式場の舞台で45人の中学三年生くらいの少女達で構成されたコーラスがあった. 最前列は15人が並んでいた. その中で私の観察したところ9人はどちらかと言えばO脚であった. 隣りに坐っていた東南アジアから来た整形外科の教授が私に日本はずいぶんO脚が多いと言って驚いていた. またヨーロッパからの整形外科医も日本ではO脚の人が目立つと言っていた. 我々は通常, 見慣れているので気がつかないのであるが, O脚は実に多いのである. これはやはり母親が乳幼児を早く歩行させようとして歩行器などに入れて歩く訓練を...
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Published in | 日本関節病学会誌 Vol. 28; no. 4; pp. 489 - 502 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本関節病学会
15.12.2009
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ISSN | 1883-2873 |
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Summary: | 「はじめに」日本は幼児期からのO脚が多い国として有名である. 10年前, 日本整形外科学会の総会開会式場の舞台で45人の中学三年生くらいの少女達で構成されたコーラスがあった. 最前列は15人が並んでいた. その中で私の観察したところ9人はどちらかと言えばO脚であった. 隣りに坐っていた東南アジアから来た整形外科の教授が私に日本はずいぶんO脚が多いと言って驚いていた. またヨーロッパからの整形外科医も日本ではO脚の人が目立つと言っていた. 我々は通常, 見慣れているので気がつかないのであるが, O脚は実に多いのである. これはやはり母親が乳幼児を早く歩行させようとして歩行器などに入れて歩く訓練をさせるためである. 下肢骨端成長軟骨層が体重負荷に耐えられるほど頑丈にならないうちに度重なる荷重が加えられて, その成育が多少阻害されるためと考える. こういう習慣のある国に, やはりO脚が多いという. 2年前, 著者がインドネシアのパプアニューギニアの中央高地に住むジャヤ族を訪ねたとき, 自然の中で自由に育った人達にはO脚はほとんどなかった. |
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ISSN: | 1883-2873 |