PDTを施行した長径1.0cm未満中心型早期肺癌局所再発例の検討

「要約」長径1cm未満の内視鏡的早期肺癌は, 光線力学的治療法(PDT)により100%のCRが得られると報告されている. しかしながら, 1cm未満でも稀にCR後再発を起こす症例を経験する. 93症例114病巣のPDT症例を経過観察し, 1cm未満でCR後再発を起こした症例を検討した. また, 治療前の細胞と再発時の細胞の特徴を検討し, 細胞所見と腫瘍深達度の相関を評価した. CRが得られた77病巣中9例(11.7%)に再発を認めた. 初回治療部位に一致した局所再発腫瘍の擦過細胞診がType I~II を呈する場合は表層再発と考えられ, 追加のPDTで再度CRが得られた. 再発腫瘍の擦過細胞が...

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Published in気管支学 Vol. 28; no. 8; pp. 620 - 627
Main Authors 古川欣也, 臼田実男, 石田順造, 山口学, 稲田秀洋, 斎藤誠, 小中千守, 加藤治文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.12.2006
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Summary:「要約」長径1cm未満の内視鏡的早期肺癌は, 光線力学的治療法(PDT)により100%のCRが得られると報告されている. しかしながら, 1cm未満でも稀にCR後再発を起こす症例を経験する. 93症例114病巣のPDT症例を経過観察し, 1cm未満でCR後再発を起こした症例を検討した. また, 治療前の細胞と再発時の細胞の特徴を検討し, 細胞所見と腫瘍深達度の相関を評価した. CRが得られた77病巣中9例(11.7%)に再発を認めた. 初回治療部位に一致した局所再発腫瘍の擦過細胞診がType I~II を呈する場合は表層再発と考えられ, 追加のPDTで再度CRが得られた. 再発腫瘍の擦過細胞がType IIIを呈する場合は, 気管支深達度が高度であると考えられた. CR後の再発理由として, 不十分なレーザー照射および気管支壁深部に遺残した腫瘍細胞からの再発が考えられた. CR後再発を抑制するためには, PDT前に腫瘍の浸潤範囲と気管支壁への深達度を正確に把握することが肝要である. CR後再発腫瘍の細胞所見を分析することは, 腫瘍の壁深達度を推測する上で有用な情報が得られると考えられる. なお本稿の内容は, 英文雑誌Chest 2005;128;3269-3275に発表した.
ISSN:0287-2137