肺非結核性抗酸菌症治療後にExophiala dermatitidis感染によって喀血をきたした1例 - 当院における検出例の検討

「要旨」: 症例は81歳の女性. 19年前から肺Mycobacterium avium症に対して多剤併用療法が約12年間行われ, 終了となっていた. 血痰のため再診し, 喀痰培養からExophiala dermatitidisが検出された. 血痰が持続し, 約5カ月後に喀血し, 意識障害, 呼吸不全を起こして緊急入院した. 気管支鏡では右肺中葉からの出血が疑われ, 同部の気管支洗浄液からE. dermatitidisが検出された. ボリコナゾール(voriconazole: VRCZ)の投与を開始するとともに, 気管支動脈塞栓術を施行した. 血痰・喀血の再燃はなく, 右肺中葉の陰影は縮小した....

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Published in結核 Vol. 99; no. 5; pp. 129 - 132
Main Authors 尾下豪人, 緒方美里, 井上亜沙美, 佐野由佳, 吉岡宏治, 池上靖彦, 山岡直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.07.2024
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は81歳の女性. 19年前から肺Mycobacterium avium症に対して多剤併用療法が約12年間行われ, 終了となっていた. 血痰のため再診し, 喀痰培養からExophiala dermatitidisが検出された. 血痰が持続し, 約5カ月後に喀血し, 意識障害, 呼吸不全を起こして緊急入院した. 気管支鏡では右肺中葉からの出血が疑われ, 同部の気管支洗浄液からE. dermatitidisが検出された. ボリコナゾール(voriconazole: VRCZ)の投与を開始するとともに, 気管支動脈塞栓術を施行した. 血痰・喀血の再燃はなく, 右肺中葉の陰影は縮小した. 過去4年間, 当院において肺非結核性抗酸菌症の診療中あるいは経過観察中にE. dermatitidisが検出された症例は8例あり, 抗真菌薬を投与することなく陰性化した症例がある一方, 提示例のように喀血を招いた症例もあった. 同菌検出時には検出状況や画像所見の推移, 症状などから, 臨床的意義や抗真菌薬投与の必要性について慎重に判断する必要がある.
ISSN:0022-9776