尿膜管由来の小細胞神経内分泌癌の一例
「抄録」: 症例は59歳, 女性. X-7年の検診で膀胱内腫瘤を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 膀胱鏡検査では膀胱頂部に粘膜下病変を認め, MRIでは同部位の腫瘤と膀胱や尿膜管との交通ははっきりしなかった. 膀胱外の後腹膜腫瘍も考慮し当院のキャンサーボードに提示したが, この時点では悪性度の低い病変と考え, 経過観察の方針となっていた. X-1年に膀胱炎の症状で前医を受診し, CTで同部位の腫瘤の増大を認め, 尿膜管癌が疑われたため再度当科紹介となった. 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の結果, 尿路上皮由来もしくは尿膜管由来の小細胞神経内分泌癌の病理診断を得た. そこで膀胱...
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Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 86; no. 2; pp. 56 - 62 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.12.2023
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ISSN | 0029-0726 |
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Summary: | 「抄録」: 症例は59歳, 女性. X-7年の検診で膀胱内腫瘤を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 膀胱鏡検査では膀胱頂部に粘膜下病変を認め, MRIでは同部位の腫瘤と膀胱や尿膜管との交通ははっきりしなかった. 膀胱外の後腹膜腫瘍も考慮し当院のキャンサーボードに提示したが, この時点では悪性度の低い病変と考え, 経過観察の方針となっていた. X-1年に膀胱炎の症状で前医を受診し, CTで同部位の腫瘤の増大を認め, 尿膜管癌が疑われたため再度当科紹介となった. 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の結果, 尿路上皮由来もしくは尿膜管由来の小細胞神経内分泌癌の病理診断を得た. そこで膀胱小細胞癌の治療方針に従い, 術前化学療法としてCarboplatinとEtoposideの併用療法を行った後に, 尿膜管および膀胱全摘出術とリンパ節郭清術を施行した. 全摘標本による最終的な病理診断は尿膜管由来の小細胞神経内分泌癌であった. 術後8カ月で局所再発をきたし, CisplatinとEtoposideの併用療法を開始した. 再発病変の縮小を認めており, 現在も治療継続中である. 今回, 尿膜管由来の小細胞神経内分泌癌に対して術前化学療法と外科的摘除を施行し, 術後再発に対して化学療法を施行し病変の縮小を認めた一例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0029-0726 |