10代女性に発症した腎梗塞を伴う急性腎動脈閉塞に血管内治療を施行した1例

《Abstract》症例は既往歴のない生来健康な17歳女性. 突然発症の右側腹部痛および嘔気を自覚し, 近医で胃腸炎を疑われ対症療法が開始された. しかし, 症状は改善せずむしろ疼痛が増強したため救急外来を受診した. 血液検査では炎症反応上昇とLDH高値を伴う腎機能障害を認めた. 造影CTでは右腎動脈の近位部閉塞および右腎梗塞を認め, 当院へ転院搬送となり, 同日緊急経皮的腎動脈形成術を施行した. 右腎動脈造影では近位部に血栓閉塞を疑うカニ爪様陰影を認めた. 血栓吸引により末梢までの血流は再開したが, 血管壁の不整およびスリット状の所見を認め, 血栓形成の背景に動脈解離が先行した可能性を疑った...

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Published in心臓 Vol. 56; no. 11; pp. 1073 - 1078
Main Authors 山崎堅, 西崎公貴, 辰尾宗一郎, 藤田大真, 掛端伸也, 富田泰史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.11.2024
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ISSN0586-4488

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Summary:《Abstract》症例は既往歴のない生来健康な17歳女性. 突然発症の右側腹部痛および嘔気を自覚し, 近医で胃腸炎を疑われ対症療法が開始された. しかし, 症状は改善せずむしろ疼痛が増強したため救急外来を受診した. 血液検査では炎症反応上昇とLDH高値を伴う腎機能障害を認めた. 造影CTでは右腎動脈の近位部閉塞および右腎梗塞を認め, 当院へ転院搬送となり, 同日緊急経皮的腎動脈形成術を施行した. 右腎動脈造影では近位部に血栓閉塞を疑うカニ爪様陰影を認めた. 血栓吸引により末梢までの血流は再開したが, 血管壁の不整およびスリット状の所見を認め, 血栓形成の背景に動脈解離が先行した可能性を疑った. バルーンによる経皮的腎動脈形成術を行い, 最終的には良好な拡張が得られ血流が改善した. 若年であり, 今後の長期の抗血栓薬内服のリスクを鑑みてステント留置はせずに終了した. その後の原因精査では, 膠原病や血管炎および結合組織疾患を疑う所見はなく, 腎動脈以外の血管病変もないため線維筋性異形成も否定的と判断し, 原因は明らかにならなかったことから特発性の急性腎動脈閉塞と診断し経過観察中である. 術後約2年経過したが, 再発を認めず経過している.
ISSN:0586-4488