緩和医療に有効な小外科手技
【はじめに】癌緩和療法とは, 癌患者の症状の緩和, QOLの維持向上を目的とする総合医療であり, 患者に残された時間のなかで, いかに身体的精神的苦痛を軽減し, QOLを維持できるかが問題となる. 特に, 根治性のない終末期癌患者においては, QOLを最重要視したうえで, 身体的精神的苦痛の軽減に有効であること, 有効な延命が得られること, そして, 低侵襲であることを条件に, 慎重に治療法を選択しなくてはならない. このような観点から, 終末期癌患者においてしばしば遭遇する症状に対して, 有効な小外科手技について述べる. 【適応疾患症状とそれに対する小外科手技】1. 薬物治療抵抗性胸水腹水...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 4; p. 284 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.07.2001
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【はじめに】癌緩和療法とは, 癌患者の症状の緩和, QOLの維持向上を目的とする総合医療であり, 患者に残された時間のなかで, いかに身体的精神的苦痛を軽減し, QOLを維持できるかが問題となる. 特に, 根治性のない終末期癌患者においては, QOLを最重要視したうえで, 身体的精神的苦痛の軽減に有効であること, 有効な延命が得られること, そして, 低侵襲であることを条件に, 慎重に治療法を選択しなくてはならない. このような観点から, 終末期癌患者においてしばしば遭遇する症状に対して, 有効な小外科手技について述べる. 【適応疾患症状とそれに対する小外科手技】1. 薬物治療抵抗性胸水腹水 16Fr側孔付きIVHカテーテルによる穿刺ドレナージ(間欠的). 2. 閉塞性黄疸 a)経皮経肝胆管ドレナージ法(PTCD)b)内視鏡的逆行性胆道ドレナージ法(ERBD) c)胆道ステント 3. 両側尿管閉塞 a)ダブルJカテーテル留置 b)経皮的腎痩造設 4. 食道胃噴門部狭窄 食道ステントの挿入 5. 幽門狭窄 小開腹下胃空腸三角吻合 6. 直腸狭窄閉塞 双孔式人工肛門造設術(横行結腸あるいはS状結腸) 【まとめ】以上に述べた手技は低侵襲で, 適応を選べば終末期患者の苦痛の軽減に加え, 極めて有効な延命が得られることが特徴である. |
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ISSN: | 1343-2826 |