同種末梢血幹細胞移植により,ABO式血液型が変化した症例の検討

はじめに:同種末梢血幹細胞移植(allo-PBSCT)は,速やかな造血回復や,患者・ドナーのリスク・負担が軽減されることから注目されている. 今回,当院においてABO不適合allo-PBSCTによる血液型の変化を,ホールグラス法・カラム凝集法<オーソBio Vue>・フローサイトメトリー(FCM)<オーソCYTORON>で比較検討した. 症例1:N.H,24歳,男性,B型CcDEe 平成7年8月に急性骨髄性白血病にて本院受診. 平成8年2月に,O型ドナー(同胞)よりallo-PBSCT施行. 術後にO型のLPRC(4単位)とPC(50単位)が輸血された. 症例2:K....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 84 - 85
Main Authors 栗田絵美, 山口涼子, 平岡朝子, 谷廣ミサエ, 高田昇, 山木戸道郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:はじめに:同種末梢血幹細胞移植(allo-PBSCT)は,速やかな造血回復や,患者・ドナーのリスク・負担が軽減されることから注目されている. 今回,当院においてABO不適合allo-PBSCTによる血液型の変化を,ホールグラス法・カラム凝集法<オーソBio Vue>・フローサイトメトリー(FCM)<オーソCYTORON>で比較検討した. 症例1:N.H,24歳,男性,B型CcDEe 平成7年8月に急性骨髄性白血病にて本院受診. 平成8年2月に,O型ドナー(同胞)よりallo-PBSCT施行. 術後にO型のLPRC(4単位)とPC(50単位)が輸血された. 症例2:K. M,40歳,男性,A型ccDEE 平成7年5月に慢性骨髄性白血病にて本院受診. 平成8年5月に,AB型ドナー(同胞)よりallo-PBSCT施行. 術後にPC(35単位)が輸血された. 結果と考察:2症例ともに順調に回復し,ドナーの血液型に置き換わった. ABO不適合allo-PBSCT実施後に現れるmixed-fieldは,ホールグラス法・カラム凝集法・FCMのいずれにおいても検出できた. 特に,FCMは1%の抗原も検出でき,抗原量と蛍光強度がよく相関し定量にも適していると思われた. 操作が簡便であるホールグラス法とカラム凝集法の2法では,微量抗原検出にはホールグラス法のほうが適していた. 一方,free cell検出にはカラム凝集法のほうが有用であった.
ISSN:0546-1448