当院における脳血管障害リハビリテーション用クリティカル・パス

クリティカル・パス(CP)は急性期医療を中心に利用されてきたが, 最近リハビリテーション医療への導入の気運も高まってきた. 当院でも(1)各職種間で治療の共有化, (2)治療効率の向上, (3)治療目標の設定, (4)インフォームドコンセントの道具として使用, 等を目的として, 平成11年3月よりCPを導入した. 先ず, 脳血管障害, 大腿骨頸部骨折, 脊髄(頸髄)損傷症例用を作成した. 片方の軸は時間軸(入院期間)で週単位とし, 他方の軸は各職種の役割などをもりこんだ標準的な形式で, カルテ用と患者ベッドサイド掲示用の2種類を作成した. 患者ベッドサイド用は, 治療の流れが矢印・点線で追える...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 1015 - 1017
Main Authors 平敏裕, 前原愛和, 湧上聖, 山崎富浩, 梅末正芳, 江頭有朋, 今村義典, 末永英文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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Summary:クリティカル・パス(CP)は急性期医療を中心に利用されてきたが, 最近リハビリテーション医療への導入の気運も高まってきた. 当院でも(1)各職種間で治療の共有化, (2)治療効率の向上, (3)治療目標の設定, (4)インフォームドコンセントの道具として使用, 等を目的として, 平成11年3月よりCPを導入した. 先ず, 脳血管障害, 大腿骨頸部骨折, 脊髄(頸髄)損傷症例用を作成した. 片方の軸は時間軸(入院期間)で週単位とし, 他方の軸は各職種の役割などをもりこんだ標準的な形式で, カルテ用と患者ベッドサイド掲示用の2種類を作成した. 患者ベッドサイド用は, 治療の流れが矢印・点線で追えるようになっており, 患者や家族が理解し易いように作成し, 入院時の患者・家族に対する治療計画等の説明にも使用している. つまり, インフォームドコンセントの道具としても使用しているのである. 脳血管障害用では, 機能予後に最も影響すると考えた麻痺の重症度を重度と軽度に分けて出発するようにし, 入院期間は3ヵ月以内を目標として治療計画をたてるようにした. 効果としては導入前に比べ入院期間が短縮したのと, 患者・家族が治療計画をよく理解できるようになった, 等があげられる. また, CPとFIM等との相関を調べ, 効率的な訓練を模索している. 問題点は, 痴呆や高次脳機能障害, 社会的理由などの変動要因による入院期間の延長等である.
ISSN:0034-351X