野球選手に発症した膝蓋骨疲労骨折 2例報告

〔要旨〕 今回我々は野球選手に発生し, 観血的治療を要した膝蓋骨疲労骨折を2例経験した. 両症例とも発症前に一定期間の膝前面部の痛みを自覚しており, 1例は投球時に, 1例はダッシュ時に完全骨折をきたした. 骨折部位はいずれも膝蓋骨遠位1/3部であり, 膝蓋腱付着部を含む逆V字型の骨折であった. 受傷機転と骨折形態から, 膝蓋腱付着部への強い牽引ストレスと膝蓋骨遠位1/3への屈曲ストレスが原因と考えられた. 手術は, 皮質骨間で強い圧迫固定が可能なヘッドレススクリューによる内固定に加え, 膝蓋骨への屈曲応力への対策として高強度糸を用いたTension band wiringを併用した術式を選択...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 28; no. 2; pp. 354 - 358
Main Authors 佐藤翔, 大歳憲一, 加賀孝弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2020
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 今回我々は野球選手に発生し, 観血的治療を要した膝蓋骨疲労骨折を2例経験した. 両症例とも発症前に一定期間の膝前面部の痛みを自覚しており, 1例は投球時に, 1例はダッシュ時に完全骨折をきたした. 骨折部位はいずれも膝蓋骨遠位1/3部であり, 膝蓋腱付着部を含む逆V字型の骨折であった. 受傷機転と骨折形態から, 膝蓋腱付着部への強い牽引ストレスと膝蓋骨遠位1/3への屈曲ストレスが原因と考えられた. 手術は, 皮質骨間で強い圧迫固定が可能なヘッドレススクリューによる内固定に加え, 膝蓋骨への屈曲応力への対策として高強度糸を用いたTension band wiringを併用した術式を選択した. 本術式は強力な固定力に加え, スクリューヘッドやワイヤーなどの金属材料による軟部組織への刺激を低減できるという利点があり, 早期復帰を目指すアスリートに対して有用な術式であると考えられた.
ISSN:1346-4159