小児の下顎に発生した類腱腫の1例

類腱腫は, 主として腹壁あるいは腹壁外の筋, 腱膜組織に生じ, 線維性の増殖を示す浸潤性の強い腫瘍性疾患であり, 頭頚部での発生頻度は比較的低いとされている. 今回我々は, 小児の下顎に発生した類腱腫の1例を経験したので報告した. 患者:6歳, 男児 初診:平成7年11月24日 家族歴:特記事項なし 既往歴:アトピー性皮膚炎の他は特記事項なし 現病歴:2~3歳時より開口障害及び開口時の下顎左側偏位を認めていたが放置していた. 平成7年1月, カリエス治療目的のため近医歯科医院受診の際, 開口障害を指摘された. その後, 他の歯科医院にて開口訓練を受けるも症状は改善されず, 紹介にて当科を初診し...

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Published in小児口腔外科 Vol. 7; no. 1; p. 64
Main Authors 岡田潔, 梶岡俊一, 増田純久, 石橋浩晃, 堀仁興, 竹之下康治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 01.07.1997
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ISSN0917-5261

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Summary:類腱腫は, 主として腹壁あるいは腹壁外の筋, 腱膜組織に生じ, 線維性の増殖を示す浸潤性の強い腫瘍性疾患であり, 頭頚部での発生頻度は比較的低いとされている. 今回我々は, 小児の下顎に発生した類腱腫の1例を経験したので報告した. 患者:6歳, 男児 初診:平成7年11月24日 家族歴:特記事項なし 既往歴:アトピー性皮膚炎の他は特記事項なし 現病歴:2~3歳時より開口障害及び開口時の下顎左側偏位を認めていたが放置していた. 平成7年1月, カリエス治療目的のため近医歯科医院受診の際, 開口障害を指摘された. その後, 他の歯科医院にて開口訓練を受けるも症状は改善されず, 紹介にて当科を初診した. 現症:開口度10mm, 顔貌左右対称で, 口腔内異常所見なし, 視診, 触診及び, X線写真にて両側顎関節領域には異常所見は認められなかった. オルソパントモグラフィーにより右側下顎角部に30mm×15mm, 境界明瞭, 辺縁不整のX線透過像が認められた. 臨床診断:悪性腫瘍の疑い. 処置と経過:平成7年12月5日, 全身麻酔下にて生検を行ったが, 確定診断には至らなかった. 平成7年12月21日, 全身麻酔下にて口腔外より下顎骨を下顎頚部~下顎角部にて区域切除, 病変部及び癒着の強かった内側翼突筋を一塊として摘出した. 摘出後は金属プレートにて再建を行った. 術後の病理組織検査により腹壁外類腱腫と診断された. 術後7か月経過した現在, 開口度32mm, 偏位も消失. 再発はみられず, X線写真にて切除した下顎骨の両断端より骨の再生が認められ, 現在経過観察中である.
ISSN:0917-5261