この頃考える事 ~品質管理から見た健康診断

「抄録」健康診断の目的は, 医療の必要性の有無について判別することであり, その判別能力を健康診断の品質と見ることができる. この判別するという考え方は, 統計学でいう感度と特異度と同様の考え方であり, 感度と特異度を計算できる精密検査指示率や精密検査受診率, 結果判明率などを健康診断の品質指標とすることができる. 従って, 健康診断では, 受診後の追跡調査を充実させることが求められる. また, 健康診断の結果に対する判断をより正確にするためには, 一律の基準で判断するのではなく, 個体の生理的変動から個人の基準範囲を作成して判断材料とし, かつ, 個体の加齢現象も加味して判断しなければならな...

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Published in総合健診 Vol. 46; no. 3; pp. 363 - 369
Main Author 林務
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本総合健診医学会 10.05.2019
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ISSN1347-0086

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Summary:「抄録」健康診断の目的は, 医療の必要性の有無について判別することであり, その判別能力を健康診断の品質と見ることができる. この判別するという考え方は, 統計学でいう感度と特異度と同様の考え方であり, 感度と特異度を計算できる精密検査指示率や精密検査受診率, 結果判明率などを健康診断の品質指標とすることができる. 従って, 健康診断では, 受診後の追跡調査を充実させることが求められる. また, 健康診断の結果に対する判断をより正確にするためには, 一律の基準で判断するのではなく, 個体の生理的変動から個人の基準範囲を作成して判断材料とし, かつ, 個体の加齢現象も加味して判断しなければならない. そのためには, 時系列で比較可能な検査結果を蓄積することが必要であり, 常に一定の精度を保つように検査を行わなければならない. また, これからは結果を持ち運ぶことができるようになることを鑑みれば, 他の健診施設との間でも時系列で比較できる結果を提供しなければならない. 同時に, 健康診断の結果に対する判断の精度を高めるためには, 健康診断受診後の経過について受診者から施設へフィードバックすることが大切であることを受診者に教育しなければいけない.
ISSN:1347-0086