15歳を対象としたピロリ菌感染 "test and treat" による胃がん罹患リスク減少率の検討

「背景と目的」ピロリ菌感染による胃がん発症を予防するため, 中高生を対象に「test and treat」 (感染検査と除菌) を公費で実施する自治体が次第に増えてきた. わが国では, 2013年以来ピロリ菌感染胃炎に対して保険診療でピロリ菌除菌ができるが, 除菌後も一定の割合で胃がん発生が認められ, 行政が胃がん予防の施策としてピロリ菌除菌を行う場合は, 感染者の萎縮性胃炎の程度が軽く, 公平性が担保されやすい中高生の時期に「test and treat」を実施することがより効果的であることは理解されやすいと思われる. 胃がん予防のための集団に対するピロリ菌感染のスクリーニングと除菌について...

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Published in日本ヘリコバクター学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 85 - 88
Main Authors 川合紗世, 菊地正悟, 篠壁多恵, 林櫻松, 菱田朝陽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ヘリコバクター学会 15.01.2025
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ISSN2187-8005
2187-8005

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Summary:「背景と目的」ピロリ菌感染による胃がん発症を予防するため, 中高生を対象に「test and treat」 (感染検査と除菌) を公費で実施する自治体が次第に増えてきた. わが国では, 2013年以来ピロリ菌感染胃炎に対して保険診療でピロリ菌除菌ができるが, 除菌後も一定の割合で胃がん発生が認められ, 行政が胃がん予防の施策としてピロリ菌除菌を行う場合は, 感染者の萎縮性胃炎の程度が軽く, 公平性が担保されやすい中高生の時期に「test and treat」を実施することがより効果的であることは理解されやすいと思われる. 胃がん予防のための集団に対するピロリ菌感染のスクリーニングと除菌について, 最新のエビデンスを基に得られた国際コンセンサス (Taipei Global Consensus) では, ピロリ菌感染の検査と除菌 ("screening and eradication") は胃がんの罹患率の高い地域の若年成人において最も費用対効果が高く, 萎縮性胃炎や腸上皮化生を起こす前であることが望ましいとされている.
ISSN:2187-8005
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