馬蹄形骨切り併用Le Fort I骨切り術のための上顎骨の解剖学的検討

「緒言」顎変形症の手術の中で, Le Fort I型骨切り術は主要な術式の1つであり, 術後の顎位の安定性や, オトガイ部の前突感, 過大な前顔面高 (いわゆるlong face) を改善する目的で, 上下顎骨切り術を行う症例が以前よりも多くなってきた. 上顎後方部の上方移動, すなわち上顎全体の上方移動や上顎後方部の時計回りの回転上方移動が必要となる症例に対し, single segment Le Fort I型骨切り術を施行した場合, 予定通りに上顎骨を移動することが困難であり, 術後の上顎骨の位置を計測すると予定どおり移動していないことをしばしば経験する. そこで, 近年では, 上顎の上...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 27; no. 4; pp. 197 - 205
Main Authors 友松伸允, 中久木康一, 儀武啓幸, 園田格, 黒原一人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.12.2017
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」顎変形症の手術の中で, Le Fort I型骨切り術は主要な術式の1つであり, 術後の顎位の安定性や, オトガイ部の前突感, 過大な前顔面高 (いわゆるlong face) を改善する目的で, 上下顎骨切り術を行う症例が以前よりも多くなってきた. 上顎後方部の上方移動, すなわち上顎全体の上方移動や上顎後方部の時計回りの回転上方移動が必要となる症例に対し, single segment Le Fort I型骨切り術を施行した場合, 予定通りに上顎骨を移動することが困難であり, 術後の上顎骨の位置を計測すると予定どおり移動していないことをしばしば経験する. そこで, 近年では, 上顎の上方移動が大きい場合, 馬蹄形骨切り術を併用したLe Fort I型骨切り術を行うことで, 歯列骨片のみを挙上する方法をとることが多い. 馬蹄形骨切り術を併用したLe Fort I型骨切り術の手術の正確度, 術後の安定性についての報告は多数あり, その有用性について疑う余地はない.
ISSN:0916-7048