橈骨頭骨折に上腕骨小頭骨折を合併した一例

【目的】橈骨頭骨折に上腕骨小頭骨折を合併した1例を経験したので報告する.【症例】28歳,男性.階段より転落,左伸展位で手を突き受傷.初診時,肘関節部の腫脹,外上顆~橈骨頭部の圧痛域を認め,単純X線にて,Mason分類Type IIの橈骨頭骨折とGrantham分類Grade Iの上腕骨小頭骨折を認めた.受傷後10日目,遊離骨片を摘出し,Herbert screwを用いて橈骨頭の骨接合術を行った.術中,X線上確認し得なかった橈骨頭に嵌入した軟骨片も認め,これも摘出した.術後6カ月,疼痛はないが,屈曲120度,伸展-35度の可動域制限を認める.【考察】文献上本合併骨折の報告は少ない.橈骨頭骨折の受...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 2; p. 554
Main Authors 副島崇, 安藤則行, 石田漂太, 吉田健治, 井上明生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1997
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】橈骨頭骨折に上腕骨小頭骨折を合併した1例を経験したので報告する.【症例】28歳,男性.階段より転落,左伸展位で手を突き受傷.初診時,肘関節部の腫脹,外上顆~橈骨頭部の圧痛域を認め,単純X線にて,Mason分類Type IIの橈骨頭骨折とGrantham分類Grade Iの上腕骨小頭骨折を認めた.受傷後10日目,遊離骨片を摘出し,Herbert screwを用いて橈骨頭の骨接合術を行った.術中,X線上確認し得なかった橈骨頭に嵌入した軟骨片も認め,これも摘出した.術後6カ月,疼痛はないが,屈曲120度,伸展-35度の可動域制限を認める.【考察】文献上本合併骨折の報告は少ない.橈骨頭骨折の受傷メカニズムからは常に小頭部損傷の合併を疑う必要はある.特に,X線上で確認できなかった軟骨片は,不顕性の小頭部損傷を示唆するものであり,留意すべき問題であると思われた.
ISSN:0037-1033