異物肺炎の一例

症例は64歳男性. 昭和59年に右気胸, 平成8年に左気胸の手術を施行. その後時々血痰を認めることがあり, 気管支鏡を施行しているが異常所見を認めなかった. 平成14年には下咽頭腫瘍の手術を施行している. 平成15年2月2日血痰を認め悪化してくるため, 当院耳鼻咽喉科を受診したが, 残存下咽頭腫瘍からの出血は否定的であり, また頸部CTにて左肺尖に浸潤影を認めたため, 平成15年2月7日精査目的にて当院呼吸器科入院となった. 胸部X-P, 胸部CTにて左上葉に浸潤影を認め, 細菌性肺炎を疑い抗生物質を投与し血痰と画像上の浸潤影は消失した. 3月5日気管支鏡を施行, 左B3aより縫合糸が確認さ...

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Published in気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 269
Main Authors 市岡希典, 谷川元昭, 齋藤公正, 木村誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 10.05.2004
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Summary:症例は64歳男性. 昭和59年に右気胸, 平成8年に左気胸の手術を施行. その後時々血痰を認めることがあり, 気管支鏡を施行しているが異常所見を認めなかった. 平成14年には下咽頭腫瘍の手術を施行している. 平成15年2月2日血痰を認め悪化してくるため, 当院耳鼻咽喉科を受診したが, 残存下咽頭腫瘍からの出血は否定的であり, また頸部CTにて左肺尖に浸潤影を認めたため, 平成15年2月7日精査目的にて当院呼吸器科入院となった. 胸部X-P, 胸部CTにて左上葉に浸潤影を認め, 細菌性肺炎を疑い抗生物質を投与し血痰と画像上の浸潤影は消失した. 3月5日気管支鏡を施行, 左B3aより縫合糸が確認され気管分岐部にまで達していた. 3月19日に鋏鉗子を使用し縫合糸切除術を施行した. 可視範囲内でできるだけ切除したが完全切除は不可能であり, 左B3a内に縫合糸は残存した. 本例は手術縫合糸による異物肺炎を呈した稀でありかつ興味深い症例であり, 文献的考察も含めて報告する.
ISSN:0287-2137