筋萎縮性側索硬化症 (ALS) および希少筋疾患に対する治療法の開発
「はじめに」本講演では私たちが進めている筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)および希少難治性筋疾患であるGNEミオパチーに対する治療開発について紹介させていただく. 「I. ALSおける遺伝子解析」ALSは, 多くの場合発症後3-5年で呼吸不全にいたる進行性の神経変性疾患である. 上位および下位運動ニューロンの選択的な神経変性により, 筋力低下や筋萎縮をきたす. さらには有痛性筋痙攣, 筋表面のぴくつきとして自覚される線維束性収縮が観察される. 嚥下や呼吸に関わる筋も障害され, 呼吸不全が主な死因となる. 呼吸筋をふくめた全身の筋力低下や筋...
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Published in | 神経治療学 Vol. 40; no. 3; pp. 154 - 159 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経治療学会
21.08.2023
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Summary: | 「はじめに」本講演では私たちが進めている筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)および希少難治性筋疾患であるGNEミオパチーに対する治療開発について紹介させていただく. 「I. ALSおける遺伝子解析」ALSは, 多くの場合発症後3-5年で呼吸不全にいたる進行性の神経変性疾患である. 上位および下位運動ニューロンの選択的な神経変性により, 筋力低下や筋萎縮をきたす. さらには有痛性筋痙攣, 筋表面のぴくつきとして自覚される線維束性収縮が観察される. 嚥下や呼吸に関わる筋も障害され, 呼吸不全が主な死因となる. 呼吸筋をふくめた全身の筋力低下や筋萎縮にもかかわらず, 知能などの高次機能や感覚は全く保たれることが多く, ALSは神経疾患のなかで最も過酷な疾患とされる. わが国では約1万人の患者がいると推定されており, いわゆる神経難病のなかでも「難病中の難病」といっても過言ではない. |
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ISSN: | 0916-8443 |