手のoveruseによると思われる伸筋腱皮下断裂の検討
「はじめに」手の伸筋腱皮下断裂は, 日常診療上比較的稀なものであるが, その原因として橈骨遠位端骨折などの外傷後, 慢性関節リウマチ, 遠位橈尺関節症等の変形性関節症に伴うものなどがよく知られている. 我々は手指の過度の使用によると思われる総指伸筋腱皮下断裂を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 対象 男性2例, 女性7例, 計9例, 全例利き手であり, 8例がい草農家, 1例が調理師と, 比較的手作業の多い職種であった. 全例手作業後の手背の腫脹疼痛を自覚しており, その後徐々に指の伸展障害が出現していた. 特にい草農家の例では全て11月のい田植え時期に発生していた. 既往歴に特記す...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 998 - 1000 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.1998
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」手の伸筋腱皮下断裂は, 日常診療上比較的稀なものであるが, その原因として橈骨遠位端骨折などの外傷後, 慢性関節リウマチ, 遠位橈尺関節症等の変形性関節症に伴うものなどがよく知られている. 我々は手指の過度の使用によると思われる総指伸筋腱皮下断裂を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 対象 男性2例, 女性7例, 計9例, 全例利き手であり, 8例がい草農家, 1例が調理師と, 比較的手作業の多い職種であった. 全例手作業後の手背の腫脹疼痛を自覚しており, その後徐々に指の伸展障害が出現していた. 特にい草農家の例では全て11月のい田植え時期に発生していた. 既往歴に特記すべきものは無く, 入院時血液検査, 手関節X線撮影でも特に異常は見られなかった. 結果 全例に観血的治療を行った. 全例手関節背側伸筋支帯遠位端で腱断裂を起こしており, 周囲滑膜の肥厚も伴っていた. 断裂腱は中指総指伸筋腱(以下EDC3)単独が2例, その他はEDC3を含んだ複数腱損傷例であった. 治療は滑膜切除とおもに固有示指伸筋腱(以下EIP)を第1選択とした腱移行術を行ったが, 複数指損傷例には隣接指腱との端側縫合, 腱移植等も併用した(表1). また伸筋腱との摩擦を起こしていると思われる伸筋支帯遠位部の部分切離も行った. |
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ISSN: | 0037-1033 |