胸腔鏡視下胸椎手術の1症例―Threaded Fusion Cageを利用した椎体間固定術

「はじめに」胸腔鏡視下脊椎手術は, 従来の開胸による手術と比べ手術侵襲が小さく, 患者の術後疼痛と合併症の減少, そして早期社会復帰をもたらすとの報告が近年みられる1)2)3). そこで今回我々は, 胸椎椎間板ヘルニアの患者に対し胸腔鏡視下胸椎椎体間固定術の1症例を経験し良好な結果を得たので報告する. 症例 38歳, 男性. 主訴は腰背部痛. 側屈位にて肋間神経への激しい放散痛を認めた. 筋力低下, 知覚低下, 病的反射は認めなかった. MRIにおいて第7/8胸椎間に椎間板ヘルニアを認めた(図1-a). CTMでは右側へヘルニアが突出し胸髄の変形を認めた(図1-b). 1ヵ月間の保存的治療が無...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 954 - 957
Main Authors 山根貞之, 西田憲記, 篠崎裕樹, 小柳俊二, 清家渉, 前山巌, 石井祥裕, 石尾哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1998
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」胸腔鏡視下脊椎手術は, 従来の開胸による手術と比べ手術侵襲が小さく, 患者の術後疼痛と合併症の減少, そして早期社会復帰をもたらすとの報告が近年みられる1)2)3). そこで今回我々は, 胸椎椎間板ヘルニアの患者に対し胸腔鏡視下胸椎椎体間固定術の1症例を経験し良好な結果を得たので報告する. 症例 38歳, 男性. 主訴は腰背部痛. 側屈位にて肋間神経への激しい放散痛を認めた. 筋力低下, 知覚低下, 病的反射は認めなかった. MRIにおいて第7/8胸椎間に椎間板ヘルニアを認めた(図1-a). CTMでは右側へヘルニアが突出し胸髄の変形を認めた(図1-b). 1ヵ月間の保存的治療が無効で, 患者が手術を強く希望したため手術の予定とした. 当院外科スタッフが内視鏡手術を積極的に行っていることもあり, 外科スタッフの協力の基に胸腔鏡視下手術を施行した. 手術操作 手術器具は, Auto Suture社Endoscopic Spinal Systemを使用した. 麻酔は左片肺換気で維持, 体位は完全左側臥位で手術を開始した. まず, 前腋窩線上第6肋間に鏡視用のトロッカーを刺入した, 続いて中腋窩線上第8肋間に肺のレトラクター用, 前腋窩線上第4肋間に吸引用のトロッカー, そして第7肋間に処置用のトロッカーを刺入した(図2). 椎間にKirschner wireを刺入しX線透視下に椎間レベルを確認した後, 第7/8椎間板レベルで壁側胸膜を切開した. 目盛り付きの髄核鉗子で線維輪, 髄核を除去し(図3-a), オステオトームにて終板を露出させた(図3-b).
ISSN:0037-1033