アロキサン糖尿病ウサギの歯肉の酸性ムコ多糖体およびコラーゲンについて

歯周疾患の全身的要因として重要である糖尿病が歯肉結合組織の主要構成成分である酸性ムコ多糖体とコラーゲンに対してどのような影響をおよぼすかを検討することを目的とし, ウサギにアロキサン糖尿病を起こさせ, 歯肉の上記成分の量的ならびに質的変動について検討した. ウサギ(体重約2. 5kg)はアロキサン投与後(60~80mg/kg, iv)3ヵ月間飼育した後, 実験に使用した. 酸性ムコ多糖体をcarbazolとorcinolの両方で定量した結果, 糖尿病群ではいずれの方法でも正常群に比較して増加したが, carbazol/orcinol比は変化がみられなかった. さらにDowex 1-X2カラムク...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 18; no. 3; p. 437
Main Authors 平松正彦, 安部勲, 南直臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯周病学会 01.09.1976
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Summary:歯周疾患の全身的要因として重要である糖尿病が歯肉結合組織の主要構成成分である酸性ムコ多糖体とコラーゲンに対してどのような影響をおよぼすかを検討することを目的とし, ウサギにアロキサン糖尿病を起こさせ, 歯肉の上記成分の量的ならびに質的変動について検討した. ウサギ(体重約2. 5kg)はアロキサン投与後(60~80mg/kg, iv)3ヵ月間飼育した後, 実験に使用した. 酸性ムコ多糖体をcarbazolとorcinolの両方で定量した結果, 糖尿病群ではいずれの方法でも正常群に比較して増加したが, carbazol/orcinol比は変化がみられなかった. さらにDowex 1-X2カラムクロマトグラフィーの各分画を比較すると, 糖尿病群では1.25MNaCl分画が増加し, 0.5M分画が減少することから, heparan sulfateあるいはundersulfated chondroitin sulfateの増加, hyaluronic acidの減少が推察された. 一方, コラーゲンは酸性ムコ多糖体とは逆に糖尿病群で減少する傾向がみられ, 特に中性塩可溶性分画の減少が著明であり, 酸可溶性および不溶性分画もやや減少する傾向がみられた.
ISSN:0385-0110