口腔扁平上皮癌の治療過程における核DNA量およびRNA量の変動と細胞像の変化について

「緒言」口腔癌の集学的治療において, 放射線治療および化学療法の併用は口腔の形態と機能を保全し, 治療成績を上げるうえで, 重要な役割を担っている. しかし, それらの治療に対する反応態度は症例によって, さまざまであり治療予後又は治療結果を予知, 判断する客観的指標が求められている. 近年, 腫瘍の細胞動態は放射線, 化学療法の感受性を左右する因子として注目され, 種々の細胞動態解析が臨床に試みられている. なかでも, 最近の細胞測光法の進歩により, 核DNA量の測定法が確立され, これを用いた細胞動態解析法が普及されつつある. しかし, 本法では同じ核DNA量をもつG0期とG1期の識別が不...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神奈川歯学 Vol. 27; no. 4; pp. 480 - 496
Main Authors 田畑利章, 志村介三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1993
Online AccessGet full text
ISSN0454-8302

Cover

More Information
Summary:「緒言」口腔癌の集学的治療において, 放射線治療および化学療法の併用は口腔の形態と機能を保全し, 治療成績を上げるうえで, 重要な役割を担っている. しかし, それらの治療に対する反応態度は症例によって, さまざまであり治療予後又は治療結果を予知, 判断する客観的指標が求められている. 近年, 腫瘍の細胞動態は放射線, 化学療法の感受性を左右する因子として注目され, 種々の細胞動態解析が臨床に試みられている. なかでも, 最近の細胞測光法の進歩により, 核DNA量の測定法が確立され, これを用いた細胞動態解析法が普及されつつある. しかし, 本法では同じ核DNA量をもつG0期とG1期の識別が不可能で, 放射線や化学療法の効果を左右する増殖相と非増殖相の動向を把握できない. この点に対し, 水谷, 木下はG1期からG2期まで合成を続けるRNAをDNAと同時に測光定量することにより, 口腔扁平上皮癌の細胞動態解析を行い, 核DNA-RNA量サイトグラムのパターンが治療効果と密接に関連すること, また治療過程における核DNA量とRNA量の量的変化が治療効果を反映することを明らかにした.
ISSN:0454-8302