気管内腫瘤を形成した甲状腺癌肺転移の1例

症例は58歳女性. 昭和60年9月に, 甲状腺癌の全摘除術を行われた. 平成7年5月に血の症状で来院. 胸部レントゲン写真で両側下肺野に数個の小粒状影と, 主気管支に突出する隆起性陰影を認めた. 気管支鏡所見では, まず声門直下の主気管支左側壁に乳頭状に隆起した易出血性の病変と, その末梢側に主気管支のおよそ70%強を狭窄するポリープ状の隆起性病変を認めた. 2つの病変の間の粘膜面は不整で, 連続性を疑わせるような所見であった. 狭窄が強く易出血性であったため, QOLの向上のために喉頭全摘除術を行い, 術中迅速標本で甲状腺癌の気管支内転移と診断した症例を, 本邦における気管支腫瘤の報告数を集...

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Published in気管支学 Vol. 18; no. 6; p. 623
Main Authors 浅井富成, 真垣一成, 森下宗彦, 宮良肇, 川尻智子, 渡部和近, 櫻井英一, 渡辺義文, 加藤ゆみ, 松村敦子, 小栗隆, 鈴村和義, 小池明彦, 原一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.09.1996
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は58歳女性. 昭和60年9月に, 甲状腺癌の全摘除術を行われた. 平成7年5月に血の症状で来院. 胸部レントゲン写真で両側下肺野に数個の小粒状影と, 主気管支に突出する隆起性陰影を認めた. 気管支鏡所見では, まず声門直下の主気管支左側壁に乳頭状に隆起した易出血性の病変と, その末梢側に主気管支のおよそ70%強を狭窄するポリープ状の隆起性病変を認めた. 2つの病変の間の粘膜面は不整で, 連続性を疑わせるような所見であった. 狭窄が強く易出血性であったため, QOLの向上のために喉頭全摘除術を行い, 術中迅速標本で甲状腺癌の気管支内転移と診断した症例を, 本邦における気管支腫瘤の報告数を集計し加え報告する.
ISSN:0287-2137