痙性対麻痺の歩行障害に振動刺激が有効であったNeuromyelitis Opticaの一例
要旨:NMO患者の歩行障害に対する振動刺激の効果を検討した. 症例は36歳女性患者で, 痙性対麻痺のため椅子からの立ち上がりや歩行が困難であった. 市販のバイブレーターを臀部から下肢筋全体に当てて, 振動刺激を行った. 振動刺激前後の起座に要する時間と歩行速度を測定した. この間の表面筋電図を記録し, 動作の効率が改善する経過とその際の筋電図パターンの変化を記録した. 振動刺激により, 起座に要する時間が短縮し, 歩行速度も速くなった. 表面筋電図の定量的分析では, 歩行時に, ヒラメ筋の筋活動が減少し, 拮抗筋である前脛骨筋の筋活動量が増加した. 痙縮のある脊髄運動ニューロンに及ぼす振動刺激...
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Published in | 運動障害 Vol. 21; no. 1; pp. 15 - 21 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本運動障害研究会
15.07.2011
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ISSN | 0917-5601 |
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Summary: | 要旨:NMO患者の歩行障害に対する振動刺激の効果を検討した. 症例は36歳女性患者で, 痙性対麻痺のため椅子からの立ち上がりや歩行が困難であった. 市販のバイブレーターを臀部から下肢筋全体に当てて, 振動刺激を行った. 振動刺激前後の起座に要する時間と歩行速度を測定した. この間の表面筋電図を記録し, 動作の効率が改善する経過とその際の筋電図パターンの変化を記録した. 振動刺激により, 起座に要する時間が短縮し, 歩行速度も速くなった. 表面筋電図の定量的分析では, 歩行時に, ヒラメ筋の筋活動が減少し, 拮抗筋である前脛骨筋の筋活動量が増加した. 痙縮のある脊髄運動ニューロンに及ぼす振動刺激の作用機序について考察を行った. Neuromyelitis Optica(NMO)は視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする脱髄性疾患である. 初発症状として視神経炎に起因する視力障害が多い. 脊髄炎の症状は, 体の一部分の感覚障害(しびれ, 痛み, 感覚低下)として現れることが多く, 運動麻痺や排尿障害なども見られる1). |
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ISSN: | 0917-5601 |