健診に携わる医療従事者の法的責任 - 違法行為が施設に与える影響

医療行為を行うには免許が必要である. そのため, 国家資格を有さない無資格者が医療行為を行うことは医師法や保助看法違反として刑事罰の対象となる. 医師は, その裁量によりいかなる医療行為も行うことができるが, 他の医療従事者は, その資格上許容された業務範囲を超えて医療行為を行うことはできない. これらの違法行為があった場合には, 医師法違反, あるいは保助看法違反として, やはり刑事罰の対象となる. 刑事罰の対象者は, 当該違法行為を行った無資格者及びこれを指示した個人に限られるが, このような事実が判明した場合には, 当該医療機関に対しても捜索・差押えといった強制捜査が実施されるおそれがあ...

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Published in総合健診 Vol. 41; no. 6; p. 673
Main Author 蒔田覚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本総合健診医学会 10.11.2014
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ISSN1347-0086

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Summary:医療行為を行うには免許が必要である. そのため, 国家資格を有さない無資格者が医療行為を行うことは医師法や保助看法違反として刑事罰の対象となる. 医師は, その裁量によりいかなる医療行為も行うことができるが, 他の医療従事者は, その資格上許容された業務範囲を超えて医療行為を行うことはできない. これらの違法行為があった場合には, 医師法違反, あるいは保助看法違反として, やはり刑事罰の対象となる. 刑事罰の対象者は, 当該違法行為を行った無資格者及びこれを指示した個人に限られるが, このような事実が判明した場合には, 当該医療機関に対しても捜索・差押えといった強制捜査が実施されるおそれがあり, また報道に伴う風評被害, 健康診断契約の打切り, 更には受診者からの損害賠償といった民事責任なども問われ兼ねないのであって, その影響は計り知れない. 過去には, (1)医師免許の写しのみを確認し, 原本を確認しないまま, 無資格者に健康診断を実施させた事例, (2)放射線照射の権限のない無資格者や准看護師にX線撮影を実施させた事例等も発生している.
ISSN:1347-0086