盛岡市における成人歯科健診の現状

(社)盛岡市歯科医師会では, 盛岡市と連携し生涯を通じた歯科保健事業を推進している. 事業は, 幼児歯科健診から在宅要介護の高齢者にいたるまで多岐にわたっているが, 今回われわれは, 平成4年度より盛岡市から委託を受けて実施している成人歯科健診結果について検討を行った. 本事業の対象は, 盛岡市に在住する40歳以上の社保家族および国保の加入者で, 盛岡市内の協力歯科医院を受診し健診を受けた者である. 受診者数は, 年々増加しており, 本事業の周知が図られてきたことが明確となった. 口腔内の現状は, 40歳代で8割以上の人が20本以上残っているものの, 年齢が増すに従い, 現在歯数は減少傾向にあ...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 54; no. 2; p. 154
Main Authors 西郷慶悦, 藤澤毅, 薮澤泰, 三善潤, 金子良司, 前川秀憲, 柴田理, 田中健一, 小林琢三, 米満正美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.04.2004
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ISSN0023-2831

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Summary:(社)盛岡市歯科医師会では, 盛岡市と連携し生涯を通じた歯科保健事業を推進している. 事業は, 幼児歯科健診から在宅要介護の高齢者にいたるまで多岐にわたっているが, 今回われわれは, 平成4年度より盛岡市から委託を受けて実施している成人歯科健診結果について検討を行った. 本事業の対象は, 盛岡市に在住する40歳以上の社保家族および国保の加入者で, 盛岡市内の協力歯科医院を受診し健診を受けた者である. 受診者数は, 年々増加しており, 本事業の周知が図られてきたことが明確となった. 口腔内の現状は, 40歳代で8割以上の人が20本以上残っているものの, 年齢が増すに従い, 現在歯数は減少傾向にあった. 一方, 歯肉の状態では, 健康あるいは軽度の歯肉炎の割合が増加し改善傾向にあったが, 重度の所見の者は40歳代で約4割, そのほかの年代では5割を超えており, 受診者の9割が歯周病あるいは歯肉炎に罹患していた. このように, すべての年代において治療処置ニーズは高い値を示しており, 歯の喪失防止に向けては, う蝕予防はもちろんのこと, 成人に対する早期からの歯科保健対策, とりわけ歯周病対策が重要と考えられた. これらのことから, 今後, 本事業の対象者を拡大するなど, さらなる活用が望まれる.
ISSN:0023-2831